制御機器各社は国内市場では再生可能エネルギー、蓄電池など新規市場のほか農業機械、医療機器、食品機械、建設機械など内需関連型市場に期待を寄せているが、とくに輸出比率の低い医療機器、食品機械向けに製販両社とも販売攻勢をかけている。
再生可能エネルギーでは電力会社のほか民間企業が進出するメガソーラー関連市場に制御機器や配電盤、筐体各社がパワーコンディショナー、設備データ機器、大型表示器、監視端末機器、直流計測接続箱、配電設備、情報通信機などの新規販売に取り組んでいる。
こうした新規市場に加え、内需型産業市場の開拓にも注力している。とくに、内需産業で輸出比率の小さい業種の動向に注視している。少子高齢化で縮小する国内市場に対し外需の拡大が見込めるためである。
農業機械は植物工場、施設園芸、農作業の自動化が進むが、輸出比率はすでに40%台に達している。今年1~6月期の出荷額は、2230億5600万円のうち輸出は963億9777万円(日本農業機械工業会統計)を占め輸出比率は43・2%である。同様に、建設機械も安全対策、操作自動化が進展するが、今年1~6月の出荷額1兆2073億8600万円に対し、輸出は8632億5400万円(日本建設機械工業会統計)で実に71・5%である。
この輸出比率の高い業種に対し、医療機器や食品機械は極端に小さい。
医療機器は輸出比率が16~20%で推移しており、しかも国内外市場の成長が見込めるため、制御機器各社にとって有望市場と見られている。
医療機器は国内においては規制緩和が行われることから、日本ピストンリング、山科精機、ウシオ電機、小松ばね工業など新規参入企業が出てきており、成長段階に入る。
医療機器メーカーは輸出にも今後、力を入れる。国内市場の輸出入品は輸入超過で推移し、しかも比率が拡大傾向にあるため、輸出増加により貿易収支の改善を図るという国策的な課題になっている。
FAパソコン・表示器メーカーは「メディカルソリューションと銘打って医療設備向けに取り組みを強化」。また、制御機器専門メーカーは「国内医療機器を見ると欧州製制御機器が採用されている。当社は医用電気機器認定を受けた。今後も開発に注力し販売量を増やす」意気込み。電源トランスメーカーも「医用電気機器製造のライセンスを取得」した。
食品機械は輸出比率が医療機器より少なく、6~7%台で推移している。国内食品機械メーカーでは「3%台が実態である」とさらに低い数値である。
食品機械メーカーは「食品の国内市場は拡大が見込めない。食品メーカーも新規工場の建設は控える方向」として、アジア市場を中心に海外を開拓する。日本食ブームで引き合いは増えている。
制御盤メーカーは「国内は製造業の海外シフトやEUの不景気もあって受注が厳しい状況にある。食品機械は魅力的な市場」としてCEマーク適合の制御盤受注の営業に乗り出した。
医療機器では欧米製部品・機器の採用が目立ち、食品機械では輸出機械の制御装置にIEC規格適合の機器・部品を搭載する方向にある。そのため、制御機器各社にとって、医療機器規格やIEC規格に対応した新製品開発をより一層強めざるを得ない。