日本電気制御機器工業会(NECA)では、コンピューターシステムへのサイバー攻撃が多発していることから、制御システムの安全性確保も大きな課題となってくるとして、NECAの技術委員会の中に、「制御システムセキュリティ研究会」を設置することになった。NECA会員から研究会への参加企業を募り、今年10月に立ち上げる計画で、9月26日には研究会創設のための説明会の開催も予定している。
情報機器分野に比べ対策が遅れていた制御システムのサイバー攻撃へのセキュリティ対策は、NECAの会員企業や身近な企業でもPLCなどへのプログラム攻撃を受ける被害が出て、身近な問題としてクローズアップされている。
経済産業省は昨年8月、「制御システムセキュリティ検討タスクフォース」を立ち上げると共に、技術研究組合「制御システムセキュリティセンター(CSSC)」を設立して対応策を検討している。NECAではこのタスクフォースにオブザーバーとして参画する一方、日本電機工業会(JEMA)など関連する9団体で「制御システムセキュリティ関連団体合同委員会」を設置し、今年5月と7月に合同委員会を開催して相互に情報を共有しながら、協力体制を構築している。
今回創設する「制御システムセキュリティ研究会」は、CSSCや関連団体合同委員会からの情報収集を行うインターフェースの役割を果たすと共に、外部への情報発信を一元的に行うための「(仮称)制御システムセキュリティ研究会」の立ち上げに向けた取り組みを、組織的に実施していくために設置するもの。
制御システムのセキュリティでは、NECAの扱う制御機器として、PLCやプログラマブル表示器などインターネットに繋がって作業を行う製品が対象となるほか、製品によってはクラウドサービスを利用したインテリジェントセンサーや監視機器なども関係してくる。
このため、NECAの技術委員会傘下の研究会として、PLC・FAシステム技術委員会やプログラマブル表示器技術委員会、さらには安全とも関係してくることから制御安全委員会とも連携していく。
当面は、制御システムセキュリティ規格のIEC62443の国内審議団体であるTC65/WG10に委員として参加する。また、制御機器のユーザーである現場作業者が対処できるセキュリティのガイドラインを作成するとともに、分かりやすい4コマ漫画版の作成も行う。コンポーネントについては国際規格IEC62443―4が審議中であることから、その状況を見ながら今後の取り組みを決めていく。
NECAではこうした活動を通じて、制御機器ベンダーとして顧客の資産を守るとともに、ベンダーとしての責任範囲も明確にすることを狙っている。