「電子部品の秋葉原を活性化したい」と熱っぽく語るのは、秋葉原で30年以上、電子部品を販売するアール電子の松本年生社長。
同社はユーザーの海外生産シフトに対応するため今年1月に、日系企業のフォローを目的に香港駐在事務所を開設したが、やはり商いの基は日本の秋葉原との思いが強い。
一昨年11月に創立30周年記念を兼ね「第5回プライベート展示会」を秋葉原の全国家電会館で開催したが、来場者を秋葉原の商社にしている。一般には個展はユーザーを対象にする展示会であるが、同社はあくまでも「秋葉原の商社の方に来ていただいて勉強や営業に役立ててほしい」と仲間たちと一緒に成長するための展示会が趣旨。
こうした秋葉原の絆を強めることに共感する商社が自社仕入先メーカーの出展に賛同、展示メーカーは60社を超えた。全国家電会館1・4・5階の会場に、商社の来場者は800人と賑わった。
そして今年も11月14日に6回目を開催する。今回はさらに拡大し70社が出展する。「秋葉原の商社の方々のご協力のたまもの」と感謝する。
松本社長の構想は「将来的には秋葉原の商社の共同展示会にしたい」という。
同社は電子部品の総合通販サイトを立ち上げ、約5万点の製品を取り扱っているが、展示会に協力した商社などが販売する製品が多数含まれている。秋葉原商社に対して専用サイトとしての利用も呼びかけている。
これらの斬新な発想は、秋葉原の仲間とともに成長するとの信念から出ている。
松本社長は「昔はお互いに共働きできた。仲間内で融通し合って、外に販売してきた。今はそうした商取引が薄くなった。しかし、自分のところだけ良くなることはありえない。秋葉原を大阪の日本橋のようにはしたくないし、なりたくない。秋葉原には半導体、電子部品、機構部品、制御機器、電材、ケーブル、コネクタなど何でもそろう。秋葉原は多くの商社が集まっているから成立している」と、秋葉原復活を目指し、活性化に向けて「共同倉庫や共同配送」なども一方法と提案する。
秋葉原の電気街には地元活性化の声が商社の間で少しずつ高まっており、「モノづくりのヒントと何でも調達できる街」の復活が待ち遠しい。