端子台、コネクタ、配線資材などの配線接続機器の市場は、堅調に拡大基調を維持している。昨年の東日本大震災を境にして、市場は大きく震災復興とそれに伴うエネルギー関連にシフトしており、スマートグリッド・スマートシティ構想なども絡み、ますますグローバル傾向を強めている。円高、中国・欧州の経済不振など経済的な逆風の中にあって、こうした社会インフラ整備需要を絡めることで、需要拡大につなげようとしている。製品も、小型・薄型化、狭ピッチ化、配線作業の省力化、安全性や接続信頼性の向上などに加え、環境に配慮した素材の開発などに意欲的な取り組みが行われており、さらに使いやすさを増すための周辺機器として、マーキングプリンターなども採用が増えている。
配線接続機器市場は、日本電気制御機器工業会(NECA)の制御用専用機器出荷統計では、2011年度が1289億円となっているが、この中で端子台、コネクタ、ソケットなどの配線接続機器は半分の約600億円と見られ、端子台・ソケットが約200億円、コネクタが約400億円と推定される。これにNECA会員外の生産も加えた市場規模は、端子台が約450億円、コネクタが4800億円、ケーブルアクセサリー・配線ダクト類が約70億円と見られ、合計で約5300億円市場を形成している。
配線接続機器の需要は、自動車・工作機械関連が市場の牽引役となって拡大しており、これにスマートフォンやタブレットPCなどの通信情報関連市場も続いている。
大震災以降のエネルギー問題、震災の復興関連からの波及も大きく需要に結びついている。省エネ化に向けたビル設備のリニューアル、社会インフラ整備に向けた電力をはじめとして公共投資の増大なども追い風で、今年7月からスタートした再生可能エネルギー買い取り制度によって、ソーラーや風力発電を増やす取り組みが増えて、需要拡大効果が出ている。
ソーラー発電では、家庭用に加え、地方自治体なども企業と連携しながらメガソーラー発電投資を積極的に行っている。ソーラーパネルやパワーコンディショナー向けなどに配線接続機器が使用されることから、今後も拡大市場として期待できる。
ただ、円高の進展や欧州・中国経済の不透明感は、外需の伸び悩みと利益面に大きな影響を与えている。