国立科学博物館が2008年度から行っている「重要科学技術資料(愛称=未来技術遺産)登録」の12年度として、横河電機の「統合生産制御システムCENTUM(センタム)」など21件が選定された。
この登録制度は、「科学技術の発達史上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義をもつ日本の科学技術史資料の保存と活用を図る」ために設けているもので、これまでに92件が選定されている。
横河電機のCENTUMは、分散形制御システム(DCS)として、75年に世界に先駆けて開発された。
石油化学や鉄鋼などのプラント制御システムでは、各設備が工場内に広域に分散し、日常の操業や設備保全もプロセス単位ごとに管理されることから、機能分散、地域分散、危険分散などの観点から分散システムの必要性があった。
横河電機はマイクロプロセッサや通信技術を駆使し、中央のオペレーターズコンソール(OPC)と各設備に配置されたフィールド・コントロール・ステーション(FCS)により構成されたDCSにより、オペレーターはOPCによってプラントの監視操作を中央で一括して実施できるようにした。
DCSの出現により連続制御とシーケンス制御の融合が容易になり、操業の高度化に大きく貢献、世界の計装システムが分散システムに移行した。この世界初のDCSの初期品が残されており重要であるとして、登録された。