奥日光の白樺林の中で新鮮な空気に浸っていたら、明らかに鹿とは違う黒い動く動物が見えた。何かを食べている様子であったが、ひょいと顔をこちらに向けた。熊である。数分間、お互いにじっと見合っていたが、熊は空腹でなかったのであろう、反対方向に姿を消した。食は無益な争いを回避する。
先週20日に北京から帰国したばかりの友人に会った。一連の騒動に対し全く不安はなかったそうである。彼は中国の工場運営に従事しているが、雇用の中国人が何かあればガードすると自信たっぷりに語る。お互い信頼関係があるから安心という。所用が済み次第、中国に戻る。
中国のFA市場は日本の市場を追い抜き、アジア1位の規模になった。先進各国の企業が中国で覇を競っている。進出企業が増えて雇用も拡大。日本からも多くの製造業が進出し、従業員の生活は年々豊かになっている。「職」と「食」を企業と従業員が分け合っていけば、信頼は高まる。
日本は1億2000万人の内需を支え増やすために外貨獲得に頼らざるを得ないが、同時に海外に進出している製造業は現地の雇用にも大きく貢献している。「食」が平穏をもたらすのだから、日系製造業に感謝している。幼稚と知りつつ、純粋な気持ちを失って欲しくないとも思う。