制御機器各社はタイに関心を寄せている。タイはこれまで生産拠点として見られていたが、洪水復旧需要が一段落した後も設備投資は旺盛であり、市場としても評価が高くなっている。多くの制御機器メーカー、FA商社が進出しているが、今年に入ってIDEC、富士電機が工場建設を発表、未進出のメーカーも検討を始めた。自由貿易協定を推進している点も考慮されている。
タイ日本人商工会議所が会員日系企業を対象にした景気動向調査によると、景気は洪水の影響で昨年下期に悪化へ転じたが、今年上期には改善し、下期も引き続き良くなる見通しにある。
そのため、今年度の日系製造業の設備投資予定額は、2011年度に比べ64・6%の大幅増加となっている。
投資内容も「新規」が最も多く、次いで「更新」、「拡張」、「合理化」、「洪水復旧」の順となり、新規設備投資への意欲が高い。
タイに進出の日系企業は近年加速しており、4000~5000社ともいわれる。
製造業は食料品、繊維、化学、鉄鋼・非鉄、電気・電子機械、一般機械、輸送用機械など多業種にわたる。
制御機器などFA関連機器メーカーも三菱電機、オムロン、パナソニック、アズビル、安川電機、日東工業、春日電機、豊電子工業、オーム電機その他多数進出しているが、さらに新規進出や新規工場建設が増えるものと予測されている。
IDECは、生産子会社を設立。端子台、スイッチなどを来年1月から製造する。
富士電機はタイに生産子会社富士電機パワーサプライ社を設立しているが、さらに新工場を建設する。パワーサプライの基幹ユニット、UPS、インバータなどの製造を来年10月から開始する。
他の制御機器メーカーも生産拠点や販売会社の設立を検討している。
「生産をアジアに移転したユーザーから進出を要請されている。中国かタイを候補にあげて検討している」、「主要顧客の工作機械メーカーが中国の生産拠点を拡大している。現地調達率を高めるといわれ、中国とタイを中心に自前の工場または委託生産の調査をしている」など、中国と並んでタイは選定候補地になっている。
タイがASEAN、中国などとの自由貿易協定を推進しているのも理由のひとつである。
今年度の制御機器事業に関して、「タイは洪水復興需要が落ち着くが堅調に推移」(オムロン)とする見方が多く、生産拠点、市場性に対する関心は高まる一方である。