本音の集団秋葉原電機部品卸業会 伊佐野勝利会長に聞く 一企業の情報収集には限界他団体とも協力し成長

「本音で語り合える仲間たち」の集まりが秋葉原にある。秋葉原電機部品卸業会(伊佐野勝利会長)は設立して半世紀が過ぎた。会員会社は電気・電子部品販売という同じ土俵の中で苦楽を共にしてきた集まりであり、互助の精神は現在も変わらない。激動する世の中で疑心暗鬼が渦巻く昨今、本音の集団は貴重な存在だ。そこで、伊佐野会長に仲間の必要性や業界を取り巻く環境など聞いてみた。

-現状の感想は。

伊佐野会長
過去はお客様を見て景気の先行きを判断できた。現在は、日本経済が未知の領域に入り、世界の動向を知らずして経営ができない時代である。世界は経済に政治が入り込み、政経を絡めて判断しないといけない。そのうえ、地球温暖化で地殻変動が起こり、いつどこで何がどうなるか分からない、まさに激動である。一企業単独での情報収集、経営の仕組みづくりには限界がある。

-同業者や異業種の方々との交流が必要になる。

伊佐野会長
秋葉原には、当組合の秋葉原電機部品卸業会のほか、全国電子部品流通連合会、東京都電機卸商業協同組合、さらに秋葉原電気街振興会など家電から産業までいろいろな団体、いろいろな会社がある。秋葉原特有のものだが、その特異性が今日の「世界の秋葉原」を作った。この地には世界の情報も集まる。やはり、秋葉原には魅力があり、愛着もある。

-不況時に会長に就任した。

伊佐野会長
当社の伊佐野春男会長が当組合の会長の任にあった関係から、3年前に組合の会長を打診された。52年の歴史がある組合なので最初は断った。私自身は当時、中小企業技術振興協会副会長だったので、副会長として新技術やベンチャー企業のお手伝いをしていて忙しかった。二者択一になったが、秋葉原が好きなので、本業の電機部品卸業会を選んだ。リーマンショック直後で秋葉原は厳しい風が吹き荒れていて、何とかしたい気持ちもあった。

-電機部品卸業会の特色は。

伊佐野会長
本音で付き合える組合である。組織もフラットである。みんなで楽しく、言いたいことを言って助け合う仲間の集まりである。不況下で会長をお受けしたとき、お互いに元気を出そうと旅行や懇親会を優先して開いた。泊まり語り合えば気心が分かる。本当に必要な情報交換ができたと思う。そして、次の段階として今年、セミナーを開催した。

-これからの取り組みは。

伊佐野会長
会員は一時減少したが、現在は30社になった。家電関係の方も入会した。戦後の廃墟時代に戸板販売から一緒にやってきた秋葉原は結束が固い。だから、いろいろな団体があるが、皆顔見知りである。個々の会社は事業継承が課題になっているが、もはや単独で事を成す時代ではないと思うし、会員はもとより他の団体とも協力し合いながら成長し、秋葉原を発展させたい。

-一種のコラボレーション。

伊佐野会長
餅屋は餅屋である。お互いが特徴を生かしてコラボレーションすれば、リスクは少ない。秋葉原では電子部品から基板、半導体、機器、家電、照明までそろっているのだから、多様な協業が可能である。

当社(日昭無線)は「ものづくりコラボレーション」を提唱し、電子部品・機器販売のほか、鹿児島工場でユニット化、モジュール化してお客様に届けているが、秋葉原の協力があるからこそ実現した。

お互いがもっともっと良い意味で秋葉原の特色を活用すれば、お客様にも喜ばれる。

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