制御機器・電子部品市場は、上期が前年割れを示す中で、下期回復への期待が高まっている。自動車とスマートフォン関連が堅調な推移を見せる中で、震災復興や再生可能エネルギー関連需要のさらなる盛り上がりを期待する声が強まっている。また、中国との領土問題が回復の兆しを見せている中国市場に今後どのような影響が表れるかも注視されている。幕張メッセで開催されたエレクトロニクス業界最大の展示会「CEATEC」の展示内容が、テレビから自動車や家の展示に大きく様変わりを見せる中で、既存市場の動向とともに、新たな市場開拓に向けた取り組みが一層求められそうだ。
電気制御機器の出荷額は日本電気制御機器工業会(NECA)の統計によると、2012年度4~8月までの累計で2508億円と前年同期比95%、金額で約130億円減少している。国内は1628億円で101%と健闘しているが、輸出が876億円で84%と落ち込みが大きい。9月も500億円前後と、前年同月を下回っているものと見られ、上期は3000億円強が予想される。NECAは今年度から統計品目を見直して対象品目を増やしていることから考えると、単純な比較はできないものの、現状の出荷額でも前年を下回っており、実態は昨年よりさらに減少しているものと推定される。
NECA統計でも国内需要が堅調で推移しており、自動車やスマートフォン、アミューズメント関連が貢献している。自動車はエコカー減税や、ハイブリッド自動車の購買意欲の高まりなどの恩恵受けて増産が続き、需要増につながっている、特に九州、東北、北関東で好調だ。九州は韓国の自動車関連の引き合い、東北はハイブリッドカーの充電池なども加わっている。
これまで自動車の製造設備投資が大きな需要として見込まれていたが、電気自動車やハイブリッドカーの増産で、車載向けの需要も大きな市場になってきている。電池、モーター、充電システムなどが挙げられる。
これに対し半導体・液晶関連は、テレビの失速が大きく影響、スマートフォン需要が落ち込み幅の拡大を抑えている。関東、大阪、九州地区にこれらのメーカーが多いことから、これらのところでは厳しい状況が続いている。これらの関連メーカーとの取引額が多い商社では、先行きに対して警戒感を持つところもあり、今後の再編につながる可能性もありそうだ。
ソーラーもパネル価格がダウンしメーカーの経営を圧迫しているものの、メガソーラー発電投資が拡大していることや、電力の買取制度などが追い風になっている。風力発電なども含めたパワーコンディショナー需要への期待も高まっており、再生可能エネルギーは、省エネと並んで、現在の内需拡大に向けた牽引役となっている。
制御機器・電子部品の主要市場のひとつであるアミューズメント、特にパチンコ・パチスロは、全体に本格回復に至っていないが、遊戯機器メーカーの当たり外れが大きく影響。東海地区が好調であるのに対し、北関東地区が低迷している。
需要構造が大きく変化する中で、今後の有望市場として、自動車、電池、再生可能エネルギー関連に加え、医療、鉄道車両、さらには、半導体の大口径化やLED・有機ELなども期待市場として挙げられている。
既存市場の成熟化が進む中で、新規市場の掘り起こしに向けた力量が問われている。