【名古屋】東洋電機(松尾昇光社長)は、水中での高速通信を可能とする、光を用いた通信装置「高速水中可視光通信装置」を開発した。水の中でも減衰しにくい青色と緑色の可視光を発光するLEDを利用するもので、毎秒10メガメガビットの容量のデータを30メートルの距離で双方向通信できる。魚介類養殖施設での監視、海中での各種調査、海底での作業状況の監視など様々な用途が考えられる。
同社は、赤外線を利用した空間光伝送装置などで多くの実績を持っているが、水中では赤外線が減衰するため、伝送距離が短くなる。また、超音波、白色可視光を用いた水中での音声伝送装置は存在するが、大きな映像データは送れなかった。
そこで、水中でも減衰しにくい可視光の青色と緑色のLEDをデジタル通信に用いることを考えたが、赤外線の場合とは異なる駆動方式が必要なため、この駆動技術を持つ太陽誘電と共同で今回の製品を開発することになった。
装置は水質に応じて光の波長を濃青(447ナメーノートル)から緑(530ナメーノートルメートル)まで変更でき、毎秒10メガビットの容量で30メートル、同100メガメガビットの容量で10メートルの双方向通信が実現できるという。さらに装置を大型化すれば、100メートルぐらいの通信も可能になる見込み。
システム構成としては、水中のIPカメラ・装置と、洋上の船舶やブイに設置した装置との間を可視光で通信し、水中のカメラの映像を洋上で確認する。さらに、洋上からその情報を無線で飛ばせば、陸上などでも映像が確認できる。
信号を水中に送ることもできるため、将来的には海底でロボットなどを操作することも可能という。また、防衛省も関心を示しているということで、顧客のニーズに合わせてアレンジし、製品化していく予定。