MECHATROLINK協会の入会メンバー数は3月末に1000社を突破した。2003年に前身の組織まで含め約9年でその目標を達成した。12年度半期を終了した時点で会員数は既に約1200社まで来ており、昨年以上の入会数になりそうな勢いである。特にアジア各国ではMECHATROLINK協会への入会のみならず、対応製品開発が急速に増えてきている。特に、PCコントローラやCNCコントローラなどのマスター製品や、分散IO、各種アクチュエータなどのスレーブ機器が増えている。MECHATROLINK協会が出展する中国、韓国、台湾などの展示会では、その国のメンバーからの対応製品展示が多く見られるようになっている。
数あるオープンネットワークの中で、MECHATROLINKが選ばれる理由を挙げてみると、
(1)オープン
通信仕様はすべてWebに公開されており、誰でも自由にマスターやスレーブ製品を開発することが可能である。
(2)高い信頼性
リトライ機能を実装し、通信にエラーが発生しても、その伝送時間内でASICが自動的にリトライ処理を行う。これにより、非常に信頼性の高い通信が実現されている。
(3)低コスト
ASICのアクセスドライバや、サンプルプログラムなどは全て無償でWebからダウンロードすることが出来る。
(4)容易な開発
フルソフトウェアでの実装とは異なり、マスタ・スレーブそれぞれにASICを搭載することで、容易に通信機能を製品に組み込むことが可能である。また、FPGAでの実装も可能になった。
(5)抜群の機能
完全同期が可能な高速通信であることはもちろん、大容量の電文を運ぶことができるメッセージ通信、通電中に保守が可能になる活線挿抜、1つの通信ASICで複数のスレーブになることができるマルチスレーブ機能、CPUレスでスレーブ製品が構成できるシンプルIO機能(M―II)など、抜群の機能を装備している。
(6)幅広い品揃え
サーボモーター、リニアモーター、DDモーター、ステッピングモーター、1軸スライダ、各種IO、画像制御、温度制御など、非常に幅広い品揃えがある。世界を代表する各社から製品が出ており、それらを接続することが出来る。
(7)日本発
MECHATROLINKは日本発の通信技術のため、日本メーカからの対応製品が多く、日本人が日本語でサポートするので安心して使用することができる。
(8)世界的なサポート
中国支部、韓国支部、アメリカ支部、ドイツ支部など世界各地で日本と同様のサポートを受けることが出来る。
MECHATROLINK―III通信ではサイクリック通信時に、通常のコマンド・レスポンスを送受信する時間とは別に、メッセージ通信機能を使ってマスタ・スレーブ間で任意のデータを通信することができる。このメッセージ通信機能を利用することで、MECHATROLINK―IIIに接続されたスレーブ用の設定ツール情報のやり取りなどが可能になり、装置の付加価値が向上する。
今後は対応製品の設定ツールを、MECHATROLINKに対応する作業をメンバーと共に推進していく。
MECHATROLINKの通信規格は、現在日本提案としてIECに提案し審議されている。間もなく国際規格のファイナルドラフトが出来る予定で、13年末にMECHTROLINKはIEC国際規格になる予定である(IEC国際規格番号IEC61158/IEC61784)。
また、MECHATROLINKの通信技術を、FPGAや各種マイコンなどへの搭載を進め、製品への組み込み易さの向上を進める予定である。