ドイツの防爆および電子制御機器メーカー、PEPPERL+FUCHS社(P&F)のPA(プロセスオートメーション)部門アジア統括ディレクターで、日本、中国、シンガポール、オーストラリア、韓国法人の代表でもあるシェーン・パー氏が本紙と会見し、同社の現状を語った。
パー氏は、今期の売り上げについて「9月までは前年同期比10%増で推移しているが、ここに来て少し停滞しており、来期は厳しい時期に入るかもしれない」とし、「防爆関連で日本からの輸出向けの販売が多くなっており、(グローバルサポートができる)当社の強みが発揮できている」。
また、「昨年買収した英国の耐圧防爆ボックスメーカー、WALSALL社に続き、イタリア・ADS社もグループに入ったことで製品レンジが充実し、売り上げ増に貢献している」と語った。
会見内容は次の通り。
-P&Fの2011年度の業績と12年の進捗状況はいかがですか。
アジアは10%増
「11年度の売り上げはワールドワイドで前年度比20%増の約500億円であったが、アジア地域は同30%増で最も高い伸びを示し全体の30%を占めている。アジアは15年には、欧州を抜いて最大の地域になるだろう。今期のアジアの売り上げは9月までは前年同期比10%増で推移しているが、ここに来て少し停滞している。来期は厳しい時期に入ることも想定され、少し計画を見直す必要がある」
-アジアが10%増で推移している要因は。
「本質安全防爆の市場を広げることができていることと、防爆ボックスでWALSALL社製品が加わり、ソリューション提案できるようになったことがプラスになっている。防爆ボックスでは、イタリア・ADS社もグループに入ったことで製品レンジが充実し、売り上げ増に貢献している」
-世界各地で設備投資を意欲的に行っているようですが。
ベトナム工場建設
「ベトナム・ホーチミンにベトナム工場を建設し、光電センサーの生産を開始している。ドイツ本社では、欧州市場向けのディストリビューションセンターを建設した。本社から欧州全体に商品を『ワンデーデリバリサービス』配送できる完全自動化物流センターである。アジアの司令塔があるシンガポールにも14年にディストリビューションセンターの建設を計画している。シンガポールには大きな生産工場があるが、この製品を配送するために現在の5倍の広さ約1万9000平方メートルの規模で、製品・材料約40億円を在庫する世界市場へ供給する中枢拠点になる。また中国では、北京に防爆機器を実装するソリューションエンジニアリングセンターを今年12月8日にオープンする」
-日本市場の現況はいかがですか。
「防爆ビジネスでは、耐圧防爆から本質安全防爆の製品レンジが増えていることで、本安ビジネスが増えている。FF(ファンデーション・フィールドバス)などバス関連機器の採用も増加している。日本からの輸出向けの販売が多くなっており、(グローバルサポートができる)当社の強みが発揮できていると思う。昨年新たな防爆コンセプトとして発表したDARTは、日本ではまだであるが、海外ではドイツ、インド、マレーシアで動き始めており、日本のDCSメーカーを通じて提案していく。オールP&Fで浸透に向けて取り組んでいく考え」
-日本の防爆検定が海外製品の障壁になっているといわれていますが。
日本の検定が障壁
「日本に新しい防爆製品を紹介したいが検定が通りづらく、日本での販売障壁になっている。ユーザー、メーカーにとって不利益であり、相互認証していくべきである」
-今年のハノーバーメッセでヘルメスアワード賞を受賞しました。
「DARTと2Dスキャナで受賞した。08年にもノミネートはされたが、今回は大賞を受賞できた。権威ある評価を受けたことが嬉しい」