配電制御システム各社は箱モノ市場が活況で、2桁前後の受注増加が続いている。配電盤・分電盤は公共施設の耐震化対策で更新需要が伸びており、監視制御盤や空調動力盤などはビルの省エネリニューアル投資増加で受注が回復している。制御機器各社も配電制御システム市場のシェアアップへ売り込みに注力している。
特別高圧・高圧配電盤は今年度に入っても受注が好調である。前年同月に比べ生産額は4月が136・2%、5月124・7%、6月122・8%、7月103・3%と大幅な伸びを示している。
同様に、低圧分電盤は4月120・6%、5月126・5%、6月103・9%、7月107・7%の伸びで推移。産業用分電盤は4月95・6%、5月110・7%、6月119・4%、7月104・6%である。
特別高圧・高圧配電盤、低圧分電盤、産業用分電盤は先行き数年間にわたって好調を持続すると見られている。
一方、昨年から低迷していた監視制御装置、その他の開閉制御装置も復調の兆しである。監視制御装置は、4月80・5%、5月71・6%、6月95・6%と低調であったが、7月には132・5%と急回復した。その他の開閉制御装置も4月90・4%、5月86・8%、6月74・4%と2桁減少してきたが、7月は135・9%の大幅増加である。
こうした好調の要因は、箱モノ市場の耐震化対策、省エネリニューアル投資に負うところが大きい。
「学校の耐震化対策で配電盤の更新による受注が入っている。今年度は10%の売り上げ増加」(配電盤メーカー)を見込む。
会計検査院が今月発表した「公共建築物における耐震化対策等に関する報告書」によると、建築設備の耐震改修率は棟数で官庁施設が23・6%、教育施設が89・0%、医療施設が66・7%、独立行政法人の建築物が6・3%と低い。
国土交通省は、住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震化率について、現状の75%(棟数)を3年後までに9割に引き上げるとしており、設備の耐震化は今後も続く。文部科学省は公立学校施設整備費として今年度予算1246億円(前年度805億円)を計上。公立小中学校1万7000棟の耐震化が必要としている。配電盤、分電盤のほか、電力節電監視装置、デジタルサイネージなどの需要が見込める。
日本配電制御システム工業会(丹羽一郎会長)は配電盤類の耐震性を重視し、工業会規格「配電盤類の耐震設計マニュアル」の改定作業を進めている。
ビルなど建築物リフォーム・リニューアル工事も増加している。
国土交通省調査によると、2011年度上半期の非住宅建築物に係わるリフォーム・リニューアル工事のうち、電気・機械器具設置工事業は受注件数が前年同期比93・7%増の14万1398件、受注高が同29・8%増の2986億円である。工場などの生産施設、医療施設、老人施設、倉庫・流通施設などの増加が目立つ。空調設備や防災関連設備などの工事が多く、照明・空調監視制御装置、非常用自家発電装置などの増加につながっている。