分岐点

ものづくり白書2012年版から「主要製造業の課題と展望」がなくなり、代わって「ものづくり大賞」が登場した。日本の製造業の世界シェアが低下していることを読み取れる構成に、自覚はしていたものの、一抹の不安を掻き立てられた。▼12年版によると、10年または11年の出荷額が1兆円以上の産業は、自動車40兆6495億円、情報通信機器40兆593億円、化学工業36兆9816億円、食品製造業31兆914億円、鉄鋼業15兆9884億円、プラントエンジニアリング9兆6128億円、医薬品8兆1800億円、素材産業7兆8004億円など30産業に近い。▼製造業は盛り返すのに十分な位置にある数値をあげている。12年版は、製造業沈下のひとつの原因を製品のデジタル化・モジュール化、生産方法のデジタル化の進展としている。デジタル化・モジュール化により、新興国でも各パーツを組み合わせて簡単に造れるようになったからという。▼日本の特許件数は世界有数。その特許同士が組み合わさった商品を開発することも一つの手立て。12年版はモジュール化が進展する中でも、「すり合わせ」から生まれる高い技術力は競争の活力になると説いている。袖すり合うも多少の縁と思って、技術者も商社のつてを使ってほしい。

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