日本スペリア社(大阪府吹田市江坂町1―16―15、TEL06―6380―1121、西村哲郎社長)は、金属接合分野において現在最も期待されている材料の一つである、ナノ銀粒子をペースト状にした「アルコナノ銀」の製造を、同社の子会社である応用ナノ粒子研究所(大阪市住吉区、小松晃雄社長)で開始する。2012年度中に量産体制を整え、13年度から月間約1トンの生産を行う予定。同社では初年度約1億円の売り上げを目指している。
同研究所は、07年に設立された大阪市立大学発のベンチャー企業で、財務体質安定化の必要から企業との提携を模索していた。一方、はんだ製造販売の日本スペリア社は、金属接合の新分野への事業拡大を目指していたことから、両者の方針が一致。今年6月に同社が同研究所に資本参加し子会社化した。
同社豊中工場内に豊中事業所として約250平方メートルのスペースを確保し、特殊粉砕機やリアクターなどの設備を導入し、生産を開始する。
アルコナノ銀は、低温焼成が可能なナノ銀粒子をペースト状にしたもの。鉛はんだや銀ペーストなど従来の金属接合材料に比べ、低温接合、高強度、高耐熱を特徴としている。
接合部分は、マイナス40℃の低温からプラス200℃の高温までの耐熱衝撃試験を、3000回繰り返しても耐えることが確認されている。特にインバータパワーモジュール用などへの採用を目指しており、電気自動車や太陽光電池用のパワー半導体での採用も想定している。
西村哲郎社長は今回の新事業について、「国内外の大学とのコラボレーションは今や当社の活動の大きな柱だが、このナノ銀の製造は最も早く事業化が実現する例と言っていい。今後もアカデミックな領域からの事業の立ち上げに力を入れていきたい」と語っている。