制御機器のデジタル化が進展する中で、アナログ式操作感を持たせた製品が根強い伸びを示している。生産現場の中高年層や外国人が操作しやすいことで採用されているほか、施設園芸などFA以外の分野でも“素人受け"して、需要を支えている。アナログ式操作の制御機器は完全デジタル化への移行期のニーズとしてとらえられている。
生産現場ではデジタル制御機器の導入が進んでいるが、アナログ式操作を要求する声が一定数存在する。退職年齢の引き上げに伴い、アナログ式の操作に愛着を持っている高齢者が現場に多く従事しているのが主因であるが、外国人従事者が増えているのも採用理由のひとつに挙げられている。これらの従事者による誤操作をなくすためである。
また、制御機器はFA分野以外でも採用されているが、やはりデジタル制御機器の操作にはアナログ式が求められているという。
こうしたニーズに合わせ、各社ともアナログ式感覚での操作を強調した制御機器もそろえ対応している。
シマデンは、昨年発売のデジタル調節計「AR18シリーズ」をアナログ式感覚でキー操作により簡単に設定できる方式にした。
アナログ操作に慣れたエンドユーザーの声を反映させたもの。数字表示を見ながらキーのみで操作が行えるため、予想以上に多くの引き合いが来ている。
タイマー・タイムスイッチではオムロン、富士電機、三菱電機、スナオ電気、パナソニックSUNXなどがアナログ式も発売している。
スナオ電気では、工業用のほか施設園芸用タイムスイッチでも「農家の人が操作することに配慮して、アナログの使い易さをデジタルで追求した独自のサブタイマー機構付きにし、散水時間を簡単にセットできるタイプやゼンマイ式が好まれている」という。
三菱電機はインバータ「FREQROLシリーズ」にダイヤル式操作部を搭載している。ダイヤルのスクロールスピードを可変式として操作性を向上させた。
アナログ式操作感の制御機器は他のメーカーも発売しているが、いずれも手堅く売り上げている。