CO2(二酸化炭素)を熱媒に用いた太陽熱を利用し、外部電力なしで給湯・発電システムに応用する研究が、同志社大学理工学部エネルギー機械工学科山口博司教授(同大学エネルギー変換研究センター所長)のもとで進められている。同システムは、代替エネルギー効果として年間約8klの原油に換算され、年間約3%のCO2排出削減効果があるという。研究チームでは、外部電力を使用しない安全・安心・高効率な給湯・発電システムとして、ハウス栽培植物工場システムや、地産型危機対応システムなど公共施設への実用化を図っていく。
同システムは、高圧条件下の超臨界CO2の自然循環を利用した太陽熱利用の給湯システム、さらに次のステップとして、CO2を熱媒に用いた太陽熱利用の給湯・発電システム(CO2ソーラーランキンシステム)である。外部の電力が不要で、CO2の比重差を応用した自然循環方式で安全・安心である。
システム構成は、集熱部、発電部、熱交換部、駆動部で構成され、太陽エネルギーから電気エネルギーと熱エネルギーを得る内容になっている。
システムの原理は、集熱部が太陽熱をソーラーコレクタで集めCO2を等圧加熱する。
発電部は等エントロピー膨張により、CO2を膨張させる過程で発電を行う。熱交換部は、CO2を等圧冷却して液化させ排熱を有効的に利用する。
また、同システムはCO2を用いていることから、熱媒体としてのCO2の有用性を検証することで、地熱発電などほかの再生可能エネルギーへの転用も可能としている。
研究チームでは、外部電力を使用しない安全・安心かつ高高率な給湯・発電システムとして、各課題をクリアし、実証実験機を使用して実証実験に取り組む方針で、将来的に、ハウス栽培植物工場システムや、地産型危機対応システムなど公共施設への応用展開を進めていく。