国内では地球温暖化効果ガスの排出量の40%を工場など産業部門で占めているが、そのうちの70%がモーター負荷からといわれる。
モーターからの排出削減に効果的なことからインバータを既存のモーターに装着する動きが強まっているが、現在の装着率はまだ30%と低い。ただ、高効率モーターを搭載した空調用送風機やポンプが、グリーン購入法で指定されており、インバータと組み合わせた使用が増えそうである。
今年以降の見通しは、昨年は東日本大震災、タイ洪水による特需があり比較できないが、今年上下期比では、下期は上期に対し5~10%程度伸長しそうである。しかも空調やエレベータなど向けは今後3~5年間は伸長が続く。遅れていた大震災復興需要が来年春以降に見込め、大都市圏では都市再開発や東京オリンピック時のビルのリニューアルが本格化する。自動車関連向け、交通分野、太陽光発電や風力発電アド自然エネルギー分野への普及が見込める。
FA向けは製造業の海外生産シフトが続くため、既存モーターへの装着率向上に期待がかかる。プラント産業では多くのモーターを使用しており、インバータ装着の余地が大きい。食品や医療など内需型産業向けも伸長が予想されている。
国内の対象市場は建物や社会インフラ、工場の食品機械、搬送機械、化学プラント、繊維機械、建設・土木機械、包装機械、木工機械、金属加工機械、空調や換気・給排水などのファン・ポンプ、製紙・印刷機械、医療機器、環境機器、半導体製造装置、アミューズメント、農業機械など広い。ユーザーはアプリケーションを要求する傾向になっている。
そのため、インバータメーカーは、販売対象先を海外規格や業種ごとの特定用途の規格取得など製品の種類を増やし、さらにはモーターとの一体販売やオプションを含めてエンドユーザーの付加価値アップへアプリケーションの充実に取り組んでいる。例えば、エンドユーザーは電力契約を引き下げ電気料金の削減へ動いており、電力の平準化要求が強まっているためインバータとモーター、さらに回生省エネユニットや充放電コンバータとの組み合わせが行われたり、船舶規格適合製品、鉄道車両用製品、電源回生機能内蔵製品なども発売されている。
このように価格競争からアプリケーション競争へ変わりつつあるなかで、エンジニアリング部門や商社との連携強化、また、Web体制の充実などサポート体制も強化している。
海外市場でも日本メーカーのシェアは高い。売り上げも2010年、11年と続けて伸ばしている。今年は中国市場が期待ほど伸びておらず、欧州市場も金融危機以後、低迷している。アジア市場は堅調で、北米市場も順調である。
中国市場に関しては来年度上期から設備投資がV字上昇すると、先行き楽観視する。中国のほかタイやインドネシア、インドなどアジア市場、中東や南米など新興国市場は伸びるとする見方が多い。中・先進国では高効率モーター規制によるインバータ需要が見込まれている。