汎用インバータは国内外市場ともに高水準で推移している。世界で地球温暖化への関心が高まり、国内では東日本大震災、原発事故により節電へ省エネの取り組みが加速しており、海外では工場の自動化、省エネ化投資が増勢にある。産業界でとくに注目されているのがCO2排出量が膨大で削減効果余地のもっとも大きいモーターの効率化であり、インバータの装着推進である。日本ではインバータの普及は地球温暖化対策に最適なことから国家省エネ政策として推奨され、海外各国でもモーター高効率規制を強めている。こうした背景により、インバータ市場は設備投資に左右されるものの、基調は世界規模で中長期にわたり成長が見込まれている。世界最高水準の技術力を備えている日本のインバータメーカーは、製品開発に加えアプリケーションの充実に注力しており、世界市場での優位性をさらに高める勢いにある。
汎用インバータ生産台数は、2011年暦年でリーマンショック前のピークを上回っている。経済産業省の生産動態統計によると、07年269万1896台、08年292万7403台と順調に拡大してきたが、リーマンショックを契機にした世界同時不況で設備投資が極端に抑制された結果、09年には163万5717台に急落した。しかし、省エネニーズは高く、翌年の10年には256万6043台と250万台の大台に戻し、11年には最高の299万9172台に達している。
今年に入っては、1月19万3546台、2月18万7564台、3月19万2816台、4月17万5085台、5月19万1373台、6月21万4031台、7月19万4902台、8月18万193台、9月19万5471台である。欧州の金融危機に端を発した世界経済不安により、日本の設備投資先送り、中国などの設備投資抑制が影響しており、生産台数は昨年よりも減少しそうである。海外生産が強化されていることも考慮すれば、国内メーカーの世界生産台数は統計よりもかなり多いとみられ、高水準を維持している。
金額ベースでは、08年のピーク時を11年時点で下回っているが、回復傾向にある。09年は472億500万円に減少したが、その後は10年651億3900万円、11年には750億3800万円に急回復を遂げている。
今年は6月、9月が50億円を突破、その他の月も46億円を上回って推移している。
世界経済の不安定化により、インバータの世界市場も一服感が出ているが、省エネ対策は各国とも重要な取り組み課題に挙げられているため、先行きも伸長する期待が大きい。
インバータメーカーは、これまでの日本のスペックでの販売からアジアにも売れる欧州スペック製品の販売で市場開拓を進める。また、北米、中国、アジア市場で地産地消を展開するため生産拠点を設けているが、中長期的にはアジアでの能力増強を続けるものと予想される。