日新電機は、再生可能エネルギーの大量導入が可能で、需要家への電力安定供給を支える「スマート電力供給システム」の検証を展開中である。
同社が提案するスマート電力供給システムは、太陽光発電システムや電池電力貯蔵システムなどの多様な電源、機器状態監視システムなどの受変電システムと、EMS(エネルギー管理システム)を統合化したもの。
特別高圧で受電するビルや工場から水処理場の需要家を想定し、顧客のニーズに合わせたソリューションを提供することを目指している。システムの概要は、同社構内に設置した太陽光発電設備と、他社との共同開発製品を結合し、同構内に仮想の需要家構内系統を構築、スマート電力供給システムを実現するための製品やシステムの開発検証を行っており、実証実験は2014年10月まで行われる予定。
EMSは、同社の強みである系統技術、電力品質向上技術、劣化診断技術、システム技術をベースに、水処理場/ビル/道路分野で蓄積した監視制御技術により、電力使用状態の「見える化」と、機器間の連携制御を組み合わせたEMSの開発検証を行っている。
具体的な検証内容は、同社構内の工場や事務棟の電力の可視化(見える化、見せる化)として、工場や事務棟ごとの構内負荷と全社の消費電力を可視化し、削減対象負荷を抽出し、省エネ効果を予測評価する。
実証検証は、まず上流(電力会社との接続点)から眺めたEMSとして、太陽電池など多様な電源を使い、負荷ピークカットによる節電を実現。さらに、下流(負荷との接続点)から眺めたEMSとして、作業快適性を維持したまま負荷の直接制御を行うことで、節電と省エネを実現。これに上流/下流からのEMSを統合するもの。
開発機器・システムの実証検証では、開発した創エネ・蓄エネ・省エネ対応機器を構内系統に接続し、通信を介してシステム制御し、開発製品単独とシナジー効果を実証検証する。さらに、本社と前橋製作所(前橋市)、顧客からの機器状態データ収集と、トレンド監視により劣化診断技術を確立する。
同社ではこの検証結果を基に、顧客のニーズに最適なソリューションを加えたスマート電力供給システムを構築し、停電の回避と、低炭素社会の実現に貢献していく。