制御機器業界は再生可能エネ、植物工場、環境向け機器・装置販売や開発に注力しているが、IDECは本業として取り組み2013年度30億円の売り上げを目指す。同社は、産業用太陽光発電メガソーラー事業に本格参入するのをはじめ土壌浄化事業を本格化、さらに農業関連事業をラボレベルから事業化研究レベルへ引き上げ、実益事業に格上げする。制御機器メーカーが環境事業を本業化する例は珍しく、推移が注目される。同社は、中期計画の重点戦略として社会的ニーズに対応した新規ビジネスモデルの構築を推進しており、特に環境関連事業は、同社のグループ力を結集し強化・推進してきた。今年度下期から、特に3つの環境関連事業のさらなる強化と拡大を図る。
メガソーラー事業について、同社は12年4月に「太陽光発電用・電力マネージメントシステム事業」に参入し、パワーコンディショナや周辺機器など、各種機器・システムの販売を行ってきた。
今回、100%子会社であるアイデックコントロールズ(大阪市淀川区三国本町1―10―40、Tel06―6398―2590、米田稔社長)が中心となり、グループ内で長年培ってきた技術と環境ビジネスでの経験を生かし、産業用太陽光発電・メガソーラー設備事業として、システム設計から最適のハード/ソフトウェアの選定・調達、施工、各種申請、さらに、保守・メンテナンスまでのワンストップ事業を開始する。
再生可能エネルギーの導入が急がれる国内市場を対象とするもので、13年度にIDECグループとしてメガソーラーの施設を立ち上げる予定である。建設予定地は兵庫県神崎郡福崎町で、面積は4万7635平方メートル(1万4400坪)、計画している発電出力はスタート時約3メガWで、2~3年以内に10メガWを目指す。
同事業に本格参入することで、IDECグループが産業用太陽光発電事業において、供給者とともに発電事業者となる。太陽光発電設備を作り、使い、電力を供給することで、メガソーラーに関するあらゆるノウハウの蓄積が可能となり、太陽光発電ビジネスにそのノウハウを生かすことで事業を加速させる。
土壌浄化事業に関しては、同社はこれまで、超微細気泡を発生させるGALF(Gas
Liquid
Foam)技術を駆使し、地面を掘削し土を運ぶのではない原位置による土壌浄化や、水質環境の改善や灌水装置「nanoGALF」の提供など、20年の実績を誇っている。
スーパーゼネコンやデベロッパーなどから事業の引き合いが増えていることから、年内にも特定建設業の許可を取得し、土壌浄化事業を推進する体制が整い次第、事業を本格化する。
農業関連事業は、「農業のオートメーション化」を目指し、小規模ラボレベルから事業化研究レベルへ拡大する。すでに3年前から、同社の植物工場ラボ(富山市)で、同社のLED技術とGALF技術、さらに制御技術を融合させ、農業オートメーション化への小規模ラボレベルの実証実験を行ってきた。
順調に野菜や果物が育成・収穫でき、データが取れたことから、このほど事業化レベルへ転換を図るため、蓄積した様々なノウハウをもとに、兵庫県神崎郡福崎町に本格的な実践型農業研究施設を建設し、事業化への研究を本格化する。
富山の植物工場の設備などを11月までに新しい施設に移築する予定で、農場の規模は、約8000平方メートルとなる。今後、高品質なイチゴや、栽培ベンチでのトマト、パプリカ、なすなどの栽培を行い、ハウス運営までの実践研究を開始する。
アイデックコントロールズの米田社長は「IDECグループが蓄積してきた制御技術、LED技術、そしてGALF技術を融合させ、これら3つの環境事業を有機的に絡め相乗効果を出していきたい。IDECグループとして総力を結集し、13年度30億円の事業規模を目指したい」としている。