自動車メーカー向けのFAシステム設計、各種盤の設計・組立、セットトップボックス・組込みシステム開発などをメーンに、オリジナル製品の開発にも力を入れているのが東亜電機工業だ。北米・中国・タイの3大拠点をベースに、海外事業も積極的に展開している。現在の売り上げ構成比は、制御盤30%、システム製作40%、衛星放送関連30%と、新事業の衛星放送関連の比率が高まっている。【事業概要】
田中社長
1956年に創業、半世紀の間、分社経営を積極的に推し進めて、FAシステムの構築、制御盤の製作、電子機器の製造、デバイスプログラマの製造、半導体商社など、電機・電子分野で各社が独自の地歩を固めてきた。
2009年には、オリジナル製品の製造・販売を開始し、流通・医療・衛星通信などの新規市場への参入を果たした。さらに、10年・11年には、従来からの北米に加えて、中国・タイに現地法人を設立、台湾には駐在員事務所を開設して、グローバル展開を強化している。
【海外展開に注力】
田中社長
グローバル展開に力を入れている。米国のTOA
SE(レキシントン市)は、日系自動車メーカーが多いケンタッキー州に01年に設立、10年以上の実績がある。自動化・省力化設備の電気・機械設計、PLC・PC制御、3D
CAD設計、ソフトウェア開発などを幅広く手掛けている。熟練技術者によるきめ細かなエンジニアリングサービスを提供、顧客に付加価値を感じてもらっていると自負している。
中国の上海東福亜機電科技(上海市)は、10年に設立、自動化設備の設計・開発・製造、制御盤の製作、輸出入業務などを行っているが、日中の外交問題などの影響で、今後の状況は未確定だ。むしろ、期待しているのは11年に設立したTOA
SE(Thailand・バンコク市)。タイでは大洪水の後、工場の移転建設や生産能力の増強が進められており、工場の電気工事、機械の据え付け、工場設備改善やオートメーション化などの需要が伸びている。
タイでのセールスポイントは、日系のきめ細かなサービスを行いつつ、地元メーカーと比べても遜色ない低価格でサービスを提供している点だ。その他、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、マレーシアなどでトータルエンジニアリングサービスを実施しており、将来的には拠点設置も検討する。
13年3月期の東亜電機工業本体の売上高予想は15億円だが、米国は4億円、中国は2億円、タイは1億円を見込んでおり、海外法人の売り上げが本体売り上げの半分近くに迫っている。
【国内は新規事業】
田中社長
一方、不況が長引いているとはいえ、国内も手をこまねいている訳にはいかないので、自動車業界以外を対象とするシステム開発に注力している。衛星放送用の最新のAndroid、Linuxを搭載したハイブリッド型IPセットトップボックを設計、開発、販売している。国内外のパートナーと連携、高品質・低コストで好評を博している。衛星放送用としては、ヘッドエンド機器の提案、販売、技術サービス、保守サービスも提供。
また、Android、Linuxを使用した組み込みシステムや、組み込み機器の設計、開発、量産までのワンストップサービスも行っている。
さらに、今後は、制御盤製作で培ってきたコア技術を生かして、不慣れな作業者への指導支援を実現するシステムなどパッケージ化されたオリジナル製品の開発も積極的に推進していく。
【多彩なグループ会社】
田中社長
国内のグループ会社としては、東亜ホールディングズ、浜松東亜電機、フラッシュサポートグループがある。東亜ホールディングズは持ち株会社で、浜松東亜電機は半導体・電子部品・産業用機器・電子管などを扱う商社。フラッシュサポートグループはフラッシュメモリーをはじめとする半導体メディアへデータを書き込むデバイスプログラマの開発製造を行っている。海外拠点も含めて、独自性を持った総合エレクトロニクスグループを形成、13年3月期のグループ全体の売上高は50億円に達する見込み。
【今後は自社の取り組みPR】
田中社長
このように様々な事業を手掛けているが、盤製作などの顧客の95%は従来からの固定客であり、今後、ネット、メディアなどを活用して私たちの盤・システム製作などのコア技術、取り組みをPRして、新規顧客を開拓していきたい。開発中のオリジナル製品もその一助として役に立ってくる。