「日本の機械工業での模倣品の被害額は、独の1・8倍、1・4兆円。その対策費はドイツの半分、973億円」。日本機械工業連合会(JMF、伊藤源嗣会長)と独機械工業連盟(VDMA、トーマス・リンドナー会長)が連携した両国の機械工業での模倣品被害状況を探る調査で分かった。ドイツの模倣品被害額は、8000億円。機械工業の売り上げ20兆円の4%。日本は、1・4兆円。VDMAの製品分類に合わせた生産規模49兆円の2・9%。
各社の模倣品被害への対策費は、ドイツは売り上げの1%、2000億円。日本は0・17%の973億円に止どまっている。
近年に、模倣品被害を受けた製品は、生産用機械器具(半導体製造装置、繊維機械、印刷機械など)が約30%、汎用機械器具(ポンプ、動力伝導装置、原動機、油圧・空圧機器)が約25%、輸送用機械器具(船舶用エンジン、フォークリフトトラック部品、自動車部品など)が13%の割合である。
模倣品製造国は、両国とも中国の割合が最も高い。日本では、中国(複数回答、87・3%)に次いで、台湾(31・3%)、韓国(23・1%)のアジア諸国となっている。流通国は、両国とも製造国より幅広い範囲に分布。日本も、中国が突出するが、アジアだけでなく中東や米国、欧州、アフリカにも流通している。
模倣品対策は、日本は「知的財産権の登録」に集中、ドイツは「提携相手の慎重な選択」が日本の2倍以上、「技術的な模倣防止策」も3割近く、多様な対策を実行している。
同連合会では「日本はさらなる模倣品対策の必要性がある」とまとめている。
同調査は、日本は12年9月12日~10月9日実施。留置によるアンケート調査。対象はJMFの法人会員(48社)、団体会員(39団体の会員企業)。回答企業数309社。ドイツは、12年2月13日~3月31日実施。対象はVDMAの会員企業3000社以上。回答企業数405社。