エネルギー管理通信機能は、ネットワークにつながったロボットやインバータ、サーボアンプなどから、それぞれの消費電力や通電時間などエネルギーに関するデータを、一般制御情報と一緒にネットワークで収集可能にする。従来はシステム全体や生産ライン全体でしか把握できなかった消費電力を、機器単位や装置単位で計測し、それぞれどのタイミングでどの程度の電力を消費しているかを分析することが可能。
さらにその変動と機器の実際の稼働状況とを対比させることで、機器の更新時期や、機器の安定的な稼働を妨げるような事象の発生を、いち早く察知することができる。消費電力が通常の変動範囲より大きく変化していれば、現場で何らかの異常が起きているということも予想される。
計測だけでなく、機器や装置の動作モードの切り替えやオン・オフ・コマンドを送ることができるのも、エネルギー管理通信機能の特徴である。その機能の効果が発揮されるシーンの一つとしては、同じ生産ラインで複数の製品を混流生産しているような場合だ。混流生産の場合、作るすべての製品がライン上のすべての装置を使うとは限らず、使わない装置も動かし続けることがある。これは段取りのためには効果的だが、電力消費の面では大きなムダにつながっている。
■電力供給の最適化図る
CC―Linkのエネルギー管理通信機能では、生産する製品に合わせてライン上のそれぞれの装置への電力供給を、ネットワーク経由で一括してコントロールすることができ、使わない装置はスタンバイモードにしたり、完全に電源オフにしたりすることで、電力供給の最適化を図れる。
電力供給の細かいコントロールは、昼休みのような短時間の稼働停止や、工場全体の使用電力が契約電力に達して部分的に電力を落としたい場合などにも、応用できる。
省電力化は製造業にとって永遠の課題であり、機器や装置メーカーは消費電力低減を長年にわたって進めてきており、機器や装置単体の動作中の省電力化はかなり進んでいる。しかし、それらを組み合わせた生産ラインとしての省電力化の仕組みは少なく、ライン全体の電源を落とすことなどで省電力化を行っているのが現状だ。
生産ラインを動かしながら省電力化を推進するためには、ライン単位ではなくその中にある機器や装置単位で電力使用を最適化する必要がある。それをネットワークで集中的に制御可能にしたのが、CC―Linkのエネルギー管理通信機能である。
CLPAでは、CC―Linkファミリー対応製品開発用のLSIのラインアップ拡大のために、ルネサスエレクトロニクスとアルティマの2社と協力しCC―Linkファミリー対応製品開発用のASSP(特定用途向け標準IC)やFPGA(大規模PLD)を使用できる環境を整備した。
ルネサスは、CC―Linkをはじめ各種の産業用Ethernetに対応したASSP「R―IN32M3―xxシリーズ」を、2013年1月から順次サンプル提供する。このASSPを機器に組み込むことで、機器のCC―Link、CC―Link IE Field対応が実現できる。アルティマは、FPGA大手の米Altera社製FPGAに搭載可能なIPコアを開発し、13年3月から販売する。ベンダーは、産業機器市場で幅広く採用されているAltera社製FPGAを使ってCC―Link IE Field対応製品を開発できるようになる。
これによって、専用通信LSI以外にも、ひとつのLSIでCC―Link、CC―Link IE Fieldに対応可能なASSPを使用した製品開発や、開発ベンダーの独自ハードウェアロジックを書き込み可能なFPGAを使用したCC―Link IE Field対応製品開発が可能になる。
開発ベンダーは製品の利用シーンやユーザー層に合わせて、最適なLSIを選択できる。
CLPAでは、CC―Link IeをはじめとするCC―Linkファミリーを、生産システムの進化に応える最適ネットワークとして発展させていく計画だ。CLPAでは、12月5~7日まで幕張メッセで開催される世界最大級の半導体製造装置技術の展示会「セミコン・ジャパン2012」(ホール5小間番号5D―807)に出展する。
■3日間、出展社セミナーも
会場では、Ethernetベースのフィールドネットワーク「CC―Link IE」の対応製品と実機デモの紹介、半導体製造に適用可能なCC―Link接続対応製品の展示など、多彩な内容でアピールする。会場には、CC―Link対応製品をフルカバーした最新版カタログの冊子とCD―ROMのほか、個々のカタログも用意している。
また、出展社セミナーも3日間開催する。内容は、「CC―Link IEフィールドネットワークの概要」「三菱電機のモーションネットワークの紹介」「ルネサスエレクトロニクス開発手法」などで、開催場所はいずれも幕張メッセ内のセミナールームとなっている。
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