IDECはこのほど、兵庫県佐用町と、メガソーラー事業で協定を締結した。国内初となる伝統の木造建築をメガソーラー施設に採用するもので、10万平方メートルの敷地に、5メガWの発電能力を有する産業用太陽光発電事業を共同で開始する。
事業概要は、総事業費15億円(送電線敷設費用2・2億円を含む)を投資し、兵庫県佐用郡佐用町口長谷字申山219番地15の用地(面積10万540平方メートル)に、2万1000枚のソーラーパネルを駆使し、5メガWの発電規模を目指す。
年間発電量は533万KWhで、一般家庭消費電力に換算すると、約1500世帯分に相当する。発電した電気は、全量を固定価格買い取り制度により売電、年間2億2200万円の売電収入が得られる。
2013年4月に発電所の建設を開始、14年1月に同工事を完了、14年3月から発電を開始する。
施設の最大の特徴として、国内初となる伝統の木造建築構造を太陽光パネル架台に採用(特許・意匠出願中)する。部材には兵庫県産の木材約1万本を使用する予定(1本のサイズは10・5センチ角×4メートル)で、鋼鉄製架台に比べ材料費の大幅コストダウンを実現した。
さらに、架台の設置工事やパネルの固定などの設置時間が短縮でき、作業工数の削減が図れる。使用後の木材は、パルプ材料や燃料など100%再利用が可能で、循環型環境配慮社会への貢献もできる。
佐用町がIDECとこの事業を進めるきっかけとなったのは、09年8月に発生した大水害が挙げられる。大水害により山林で大量の倒木が発生、流木が川の流れをせき止め浸水被害が拡大した。その際、健全な山林育成の重要性を痛感。今回、山林の健全な育成を推進し防災力を高めるとともに、循環型環境配慮社会の実現を目的に、メガソーラー施設に木造建築構造架台を導入することにしたもの。
なお、今回の事業はIDECと佐用町の「LLP」(Limited
Liability
Partnership)形式による建設・運営となり、事業主体は「佐用・IDEC有限責任事業組合(仮称)」で、13年1月に同組合を設立する。
今後、IDECと佐用町は、互いの特性とノウハウを生かし、役割分担を行いながら事業の推進を図る方針で「環境に優しく、グローバルでナンバー1のメガソーラーを目指す」としている。