バーコード、RFID、バイオメトリクスなどの自動認識機器の市場は、日本自動認識システム協会(JAISA)の出荷統計によると、2011年出荷金額は前年比4・3%減の2111億円となっている。リーマンショック以降なだらかな回復をして来たが、東日本大震災の影響で、生産停止やサプライチェーンの破綻が生じ、その後の電力不足により減産を強いられたことなどが、出荷金額減少の大きな要因とみられる。
12年は震災の復興需要による製造、物流業界の回復、RFIDのUHF帯域の移行、NFC(近距離無線通信技術)を利用したソリューションの拡大、タブレットやスマートフォンとの連携などの需要が見込まれるとして、前年比5・1%増の2219億円を見込んでいる。
自動認識機器は、「省力・効率」に加え、「安心・安全」と「品質」に対する関心の高まりの中で着実に市場を拡大しているが、価格の低下などもあり、出荷台数の拡大に比べ、金額の伸びが伴っていない面があるようだ。このため、スキャナメーカーを中心に国際的なメーカーの再編が進んでおり、社数が集約される方向にある。
しかし、一方で製造履歴を管理するトレーサビリティ化や、物流合理化につながる自動認識機器・システムは重要性が高まっているだけに、数量的確保を行うことでの生き残りの時代に入ったといえそうだ。
自動認識システムは、需要裾野が広いことから、今後は一定規模で安定した市場規模を維持していくものとみられる。