新年、あけましておめでとうございます。経済産業省はじめ関係省庁、関連団体、並びに会員の皆様には、日ごろより当工業会の活動に多大なるご支援、ご尽力を頂き、心より御礼申し上げます。
2013年の年頭にあたり、謹んで所感を申し上げます。
昨年はアメリカ大統領選挙など、世界の主要国の多くがトップの続投や交代を決める節目を迎えました。わが国でも衆議院総選挙の結果、政権交代の運びとなりました。新政権は、重点施策として経済再生を掲げており、強力な経済・産業政策の推進を期待しております。
わが国の景気は、世界景気の減速や日中関係の悪化に伴う輸出減などにより、昨年後半から下降局面にあります。一方で、アメリカでは、雇用の回復が鈍い中でも、住宅市場が改善してきており、中国経済にも、不透明ながら景気回復の兆しが見られます。日本経済も新政権のもと、この年明けから回復軌道に乗ることを、期待するところでございます。
このような中、我々電機業界の中長期展望はと申しますと、重電分野及び白物家電分野においては、国内市場は価格への要求は厳しいものの、需要は今後とも堅調と予想されます。グローバル市場では、新興国を中心にエネルギー需要は旺盛であり、電機機器の市場拡大が見込まれます。
電機業界の取り組みとして、重電分野では、まず原子力の安全対策、及び原子力技術の維持発展、その人材育成などに対応して参ります。また、大容量ガスタービンや石炭火力など、日本に強みのある技術のさらなる高度化とコスト低減を進めるとともに、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギー事業の拡大を、強力に推進して参ります。
さらに、これらの多様な発電システムと需要家サイドの最適エネルギー管理を行う、スマートコミュニティ、スマートグリッドなどの事業化にも注力して参ります。グローバル市場に対しては、日本の強みを生かした技術の組み合わせと、新たな製品群による競争力強化を進め、インフラ・システム輸出を推進して参ります。
白物家電分野では、製品本来の基本機能や省エネ性能を向上させ、さらに「エコ」「スマート」をキーワードとした環境へのやさしさや、エネルギー利用の最適化と利便性の向上を実現する新たな製品群で市場を広げていきます。グローバル市場では、地域市場の文化・生活・習慣・価値観に合う地域密着の製品開発・拡販を進めて参ります。
環境分野では、電機・電子4団体で、CO2排出量削減の自主行動計画を着実に推進しており、08年度から12年度までの第1約束期間の目標を達成する46%の改善となる見通しです。さらに、ポスト京都に向け、13年度からの新たな自主行動計画としての「低炭素社会実行計画」を推進して参ります。
電機業界は、日本経済低迷からの脱出を目指し、日本の持つ強い技術をさらに強くし、新たな付加価値を追求した製品を創出し続けていくことで、国内の雇用を確保し、グローバル市場の中でも勝ち抜いていくよう意欲的に取り組む所存です。
グローバル競争の中では、官民が一体となって産業再生に向け取り組むことがますます重要となる局面を迎えております。
新政権には効果的、かつ一貫してぶれない政策を期待致します。具体的には、
・金融緩和、円高是正。
・法人税低減など、成長のための財政・税制改革。
・TPPやRCEPなど、経済連携協定の一刻も早い交渉開始。
・安全性の確保を大前提として、原子力発電を基幹電源の選択肢の一つとするエネルギー・環境政策の再構築。
・手続きの簡素化、一元化などの規制・制度改革。
・新興国の需要の取り込みや、国内研究開発拠点の積極的な整備などであり、当工業会としても、いろいろな場で要望・ご提案を申し上げて参ります。
内外を取り巻く情勢は依然として厳しく、先行きの不透明感はなかなかぬぐえませんが、関係省庁や関係機関との密接な連携のもとで会員の皆様と一丸となり、新たな成長軌道を切り拓いて参ります。そして、電機産業の発展、ひいては日本の再生にいささかなりとも繋げて参りたいと思います。
最後になりましたが、この一年の皆様方のご発展と一層のご活躍を祈念致しまして、私の新年のご挨拶とさせて頂きます。
本年も、どうぞよろしくお願い致します。