謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。平素より当協会の事業活動に多大なご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
昨年の我が国経済は東日本大震災からの復興需要などを背景に持ち直しが見られたものの、慢性的な円高、欧州の債務危機に端を発した世界的減速懸念や、隣国との政治的軋轢など様々な要因が日本経済に大きな影響を与えた年となりました。
当協会の業績動向は、製品特性から景気の影響を受けにくい特徴を持っておりますが、国内外の経済状況から、しばらく設備投資や生産の調整が続くことがあると思われます。しかしながら人々の「安心・安全」や作業の効率化に繋がる自動認識システム業界は、他産業に先駆けて業績の回復が見込まれます。
このような状況下、当協会を取り巻く環境も変化してまいりました。
その一つに昨年7月にUHF帯950MHz帯から920MHz帯へ周波数移行が実施されました。平成30年3月までの移行期間があるものの、当協会と致しましてはユーザーの周波数再編をスムーズに実現させるために会員企業のご協力のもと、積極的な対応をしております。
当協会の昨年の活動は、2月の「第9回自動認識総合展大阪」に続いて、9月12日から9月14日には“きて、みて、さわって自動認識"と題して、「第14回自動認識総合展」を東京ビッグサイトにおいて開催致しました。自動認識技術を活用したソリューションを集中展示する「自動認識ソリューション展示ゾーン」及び本年から設置致しました「NFCゾーン」には、多くの企業の方々に出展していただきました。
また、第14回システム大賞では応募が13件寄せられ、その中でユーザーが会員企業や大学と共同で応募する事例が多くあり、当システム大賞のユーザー層への広がりが一段と進んでいます。
普及啓発事業では、東京・大阪で自動認識総合展併設セミナーを開催し、多くの方々が受講されました。特に9月12日に開催した特別セミナーでは4講座に延べ930人の参加を頂きました。
自動認識システム技術者認定試験制度については、第19回・20回基本技術者認定講習・試験を行いました。当試験合格者は第1回よりの累計で1000人を超し、業界のレベルアップに大いに貢献していると思います。また、より高度な専門資格試験としてRFID専門技術者資格認定講習・試験を実施しました。
標準化活動は当協会が特に力を入れている分野であります。経済産業省等からの受託事業として、「サプライチェーン完成車物流の可視化手法に関する国際標準化」「物流用データキャリアのインタフェースに関する国際標準開発」などの自動認識技術を基盤とした物流アプリケーションに関連しての国際標準化を推進しています。
また、バイオメトリクス関連では「アイデンティティ・マネジメントにおける共通本人認証基盤の研究開発」、「マルチモーダル生体認証に関する標準化」、「アジア生体認証技術評価基盤システムの構築」、その他では「二次元コード等のJIS原案作成」で計6件を受注し推進をしております。
自動認識システムは、今後最先端技術を組み合わせることにより、いろいろな産業分野で安心・安全のソリューションを提案するものです。
当協会は、エコも含めて新たな発展の芽を模索しつつ、より一層業界及び省庁間の連携を密にして具体的な事業の継続・発展に尽力して参ります。