高温超電導ケーブルの電力系連系試験を開始東電など3社が国内初

東京電力、住友電気工業、前川製作所(東京都江東区、田中嘉郎社長)の3社は、NEDOの「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」に基づき、国内で初めて高温超電導ケーブルを電力系統に連系する超電導送電の実証試験を開始した。

東京電力旭変電所(横浜市)内に、超電導送電を可能とする世界最大容量(20万kVA級)の三心一括型の超電導ケーブルを、全長約240メートルにわたり設置。液体窒素を用いた冷却により超電導状態を維持し、電力系統に連系させ、ケーブルの実系統での運用性や信頼性、安定性を検証するもの。

実証試験で使用するケーブルの線材は、住友電気工業が開発したビスマス系高温超電導線「DI―BSCCO」の改良タイプが採用されており、超電導ケーブルの冷却システムの製造・運転は、前川製作所が行う。

超電導は、ある温度以下になると電気抵抗がゼロになる現象で、液体ヘリウムを使って冷却する低温超電導(金属系超電導)と、液体窒素を使って冷却する高温超電導(酸化物系超電導)がある。

高温超電導ケーブルは、高温超電導の線材を使用した電力ケーブル。低温超電導に比べ高温なので、冷却に必要な設備が軽減される。

住友電気工業のDI―BSCCO改良タイプは、同社がNEDOプロジェクトの成果をもとに開発したビスマス系超電導線をさらに改良。線材をスリム・コンパクト化することで、交流損失の低減化を図っている。

こうしたことから、地中送電線の管路の小型化や少本数化につながり、実用化されれば送電効率の向上に加え、電力流通設備の建設面で大幅なコストダウンが実現すると期待されている。

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