政府の経済政策で数年の間は「不況」の文字が霞むような気がしている。あくまでも「気」であるが、景気も世の中の雰囲気しだいなのだから、やはり「気」になる。そう見ると、元気、陽気、快気、天気などが思い出され、ついでに嫌な不景気も浮かんできた。▼
日本の産業は公共投資動向に歩調を合わせ、売り上げが上下するようになった。建築物に影響される配電盤はやむを得ないが、制御システムや制御機器なども設備投資を後押しする経済対策が息切れすると、国内市場が縮こまる。政府の経済対策に関心が高まるのもうなずける。ただ、政府の市場活性化策はいつまでも続くわけではない。▼
弊紙の連載「混沌時代の販売情報力」を執筆する黒川想介氏に問うと「既存の市場で価格競争するより、今のうちに、先の市場を開拓しなさい」。「ローコストオートメーションが求められ、そこに先の市場が潜んでいる」と具体例を挙げられた。誰でも気付きそうな例だが、黒川氏のように作業現場を良く知らないと見つからない。▼
対象市場を探る嗅覚と新しいアプリケーション情報を収集する能力は、製造現場を細かく観察しないと養えない。現場関係者との構築は、まず己の人間性を高めることが大切という。誠実・礼節・向上心を指すのであろうが、製品だけでなく、社員自身も品質がこれまで以上に重視される世の中になる。