関西地区のFA機器市場動向は、全般的に厳しい雰囲気が漂うものの、「省エネ・創エネ・蓄エネ」をテーマとした案件が増加、メガソーラー関係や電源関係に携わる分野が活況を呈している。さらに配電・制御盤業界は、急増するメガソーラー設備への対応や、今後普及が予想される新電力への対応を進めるほか、分散型電源など新規のテーマを新しい事業分野の創造ととらえ、意欲的な活動を開始している。こうした中で、各商社は技術面での対応をより深化させているが、業務や資本提携など、業界の再編・淘汰の可能性を示唆する声も多い。
関西地区は、大手家電メーカーがテレビ事業を大幅に縮小したことなどで、電子・制御機器業界も少なからぬ影響を受けているが、年末に政権が代わり円安・株高に移行したことで、ここ数年なかったような明るい雰囲気が漂っている。
厳しい環境を乗り切るため、制御機器メーカーでは、独自のオートメーションシステムを構築し、あくまでも制御機器を主体として事業展開を加速させる一方、制御技術とそれに関連する独自の技術を駆使し、FA業界以外に事業の拡大を図るメーカーも現れている。
独自のオートメーションシステムを構築するケースでは、PLCなどマシンコントローラを中心に、高速のネットワーク通信により、自社の入出力機器をシームレスに接続、機械全体の制御を1つのコントローラで実現しているケースがあり、省配線や管理一元化につながっている。
一方、社会的ニーズに対応した新規ビジネスの構築を進めるメーカーでは、長年培ってきた制御技術を核に、自社のLED照明システムで培った調光技術や、独自の超微細気泡生成技術を融合させ、メガソーラー事業のほか、植物工場など農業のオートメーション化、さらに土壌改良事業など環境関連ビジネスに本格的に参入を開始し、中長期的に新しい事業の柱を育成し始めている。
関西地区でも、蓄電・創電システムの急増や、メガソーラー施設の建設ラッシュが続いているが、特に電力業界は昨年から大きな変革の波に直面しており、これらの施設を支える配電盤・制御盤業界は、大変忙しい状況となっている。
東日本大震災以降クローズアップされてきた新電力については、関西の配電盤・制御盤業界も今後の対応に追われている。新電力は、既存の大手電力会社とは別の特定規模電気事業者(PPS)が行う電気事業で、契約電力が50kW以上の需要家に対し、一般電気事業者の電線路を通じ電力供給を行う。日本配電制御システム工業会では、新電力の普及に伴い、マンションなど集合住宅などで蓄電や売電の需要も増加するものと予想、新電力向けの新しい需要に注力している。
さらに日本配電制御システム工業会関西支部でも、こうした電力の動きに対応して、新しい委員会の新設を検討している。新分野をビジネスとして創造し、業界のパイを拡大させる方針だ。
各商社も、省エネ・創エネ・蓄エネ、安全・安心を重要テーマに、顧客の要望に的確に対応できるよう技術力のアップを図っている。その一方、流通業界の淘汰・再編がさらに進むことも予想される。