アズビルは、創業から現在までの106年の同社の歴史と製品を展示する「山武記念館」を、神奈川県藤沢市の藤沢テクノセンター内にこのほど開設した。
山武記念館は、総面積約200平方メートルに8つの展示室を設けている。
展示は、同社創業者山口武彦氏の少年時代から始まり、1906年に山武商会を創業しドイツの工作機械を輸入販売、20年に米国ブラウン社の工業計器を輸入・国産化、そして戦後の53年に米国ハネウエル社との提携で山武ハネウエルとなり総合オートメーションメーカーを目指す道のり、さらには2006年に社名をアズビルに変更して未来に向かう現在の取り組みを紹介している。
展示製品は、太平洋戦争前後の工業計器から高度成長期に向かう各種のアナログパネル計器、マイクロスイッチやリミットスイッチ、温度調節器などの電気制御機器、そしてデジタル化した石油精製プラントの制御システム、ビルの空調制御システムなど。
同社創業者の山口武彦氏は、1910年に日本酸素、14年に日本精工も創業するなど現在も綿々と続く100年企業を3つも興した優れた経営者であった。その創業者のDNAの精神と想いを引き継ぐために記念館の名称にも「山武」を冠している。
記念館には太平洋戦争の終戦直後に手がけた電気のおひつやこたつ、自転車のヘッドライトなどの民生機器も展示され、企業継続に向けた当時の苦労が偲ばれる。
また、創業時の経営理念である「人の苦役からの解放」から、現在の「人を中心としたオートメーション」の間には100年の時を経ているが、いずれも「人」を主役にした経営姿勢が生かされている。
同社では知的障害者の雇用のための会社「山武フレンドリー」にも「山武」の名称を残している。人を中心とした創業のDNAが継承されることで106年の間に同社にかかわった人への思いにも応えようとしている。
なお、この建物は住宅用全館空調システムの実験モデルハウスの内部を改装したもの。
山武記念館の見学は、同社営業担当者経由で受け付けている。