電気回路の開閉制御を行う電磁接触器(コンタクタ)と電動機の過負荷保護を行う熱動型過負荷継電器(サーマルリレー)を組み合わせた電磁開閉器は、機械・装置と一体となって使われている。工作機械、半導体・液晶製造装置、エレベータ、配電盤など幅広い分野で、モーターの起動・停止、照明・ヒーターなどのON・OFFなどが代表的な使用例となっている。
経済産業省の機械統計によると、12年の生産額は273億円(前年比11・0%減)、生産台数は161万台(前年比7・3%減)となっている。ピーク時には年間500億円前後を形成していたが、ここ数年は300億円前後、160万~180万台で推移している。
12年は11年の東日本大震災やタイの大洪水需要の反動もあり、2年ぶりにマイナスになった。建物向けはビルのリニューアルや省エネ対策への取り組みもあり、堅調な拡大を見せたが、工場設備向け頼みの半導体・液晶製造装置向けが不振だったのをはじめ、工作機械も後半は失速気味となっている。それでも自動車関連は国内外で設備投資が増加したことで、電磁開閉器の需要増につながった。
省エネ・蓄エネや、再生可能エネルギーの活用への取り組みが進む中で、関連の投資が増加している。ソーラーや風力、地熱などの電力変換に使用されるパワーコンディショナーや、DC(直流)電源に対応した機器開閉用に電磁開閉器の需要が増えている。特に病院や学校といった公共施設ではこの関連投資が多くなって市場を盛り上げている。
■パワコンのフル生産続く
再生可能エネルギーは、昨年からスタートした電力の買い取り制度が追い風になって家庭用や事業用のソーラー発電が大幅に増えている。電力の買い取り価格が今年4月から引き下げられる恐れがあることから、メガソーラー発電を中心に駆け込み建設が進んでいることで、パワーコンディショナーなどのフル生産が続いており、パワーコンディショナー用部品、接続用コネクタ・端子台、ヒューズなどが納期対応に追われている。
電磁開閉器の世界市場規模は年間2000億円前後と横ばいから若干減少しているものと見られているが、価格の低下などもあり、数量的には過去最高水準の生産になっている。小容量機種の増加、中国、韓国メーカーとの競争による単価の下落などが背景にある。しかし、グローバル市場では新興国の多いアジアや南米などでさらに伸ばす余地が大きい。
■メーカー間のアライアンス活発
日本でもセットメーカーの生産が海外シフトを進めていることで、電磁開閉器各社は海外生産体制を強めている。量産効果と開発コスト削減効果を発揮するために、メーカー間のアライアンスも活発化している。一方で、為替や国際規格品をポイントに日本市場開拓に取り組む欧州や韓国・中国などの海外メーカーも目立ち、市場での販売競争は激化している。
電磁開閉器の素材価格の高騰で価格改定も取り組まれていたが、円高と素材価格の安定もあり、このところ沈静化しており、しばらくは現状のままで推移しそうだ。