タイ、ベトナムの視察を終えて帰国した本紙記者は、渡航前後で表情が一変した。訪問先々でFA関連のビジネスチャンスを肌で感じたからである。現地の日系製造業を販売対象にするだけでも制御機器企業は成功する、と確信に似た熱い言葉を吐く。
ベトナムの日系製造業は自動化よりもまだ人海戦術を採用しているのでFA市場は小さい。ただ、日本の製造業の進出が増えており、近い将来に先手を打つ必要性を感じたという。タイでは、設備投資が旺盛で生産技術者、品質管理技術者の不足が目立った。自動化・省力化の段階に来ており、生産管理ソフトウェアも普及し出した。
中国市場では、日本FA制御メーカーは顧客対象を日系企業から欧米系企業を経てローカル企業へ販路を広げている。この時点では、競合ローカル企業が成長し、苦戦が免れない。日本製FA制御を販売する現地の日系商社は、ASEAN諸国の市場開拓に乗り出した。中国プラス近隣国への図式である。
タイも欧米企業に加え、いずれ競合ローカル企業が台頭するのは必然であるが、生産設備や品質管理設備を日本製が押さえれば、中国の二の舞いは防げる。インターネット情報では得られない実感を持った記者は早速、FA設備や制御機器メーカーへの訪問を始めた。アジア市場で活躍する日系製造業の夢を描いて。