閉鎖的から開放市場への兆しが芽生えつつある鉄道関連産業に対し、駆動・制御機器や配電制御システム各社は、鉄道関連向けに営業を強化している。鉄道車両の電装率が向上しているほか、信号保安装置や駅構内の安全対策向け需要が高水準で推移していることに加え、市場も国際規格第三者認証機関の設立や、鉄道技術総合展の開催などを通じて、開放型へ移行しつつあり、顧客の拡大や新規参入が以前よりしやすくなってきた。(関連記事3面)
鉄道車両の生産は2009年をピークに下降しているが、それでも生産水準は高い。国土交通省統計によると、05年を100とした生産指数の推移は06年90・9となったものの、その後07年132・7、08年119・8、09年123・3、10年118・9、11年98・1と高原状態が続いている。
車両は安全対策、快適性を高めるため車両部品や信号保安装置の生産額は上昇傾向をたどっており、電装率が向上している。
05年対比の生産指数は、車両部品が06年119・4、07年131・1、08年137・3、09年131・4、10年155・1、11年140・1と高い推移である。
信号保安装置も同様に06年92・0、07年92・9、08年114・9、09年114・3、10年115・6、11年116・4でリーマンショック後100を超えている。
車両部品として電動機、変圧器、変換装置、補助電源装置、制御装置、電気冷暖房装置、モニター装置、列車自動制御装置などの電気機器が搭載されており、また、鉄道信号保安装置でも継電器、警報装置、列車制御装置、電気信号装置、保安装置、信号用変圧器、電源装置などが採用されている。
統計には含まれていないが、駅ホームの安全対策として自動開閉装置などの設置も大都市で進捗する。
国内鉄道関連市場は駆動・制御機器、配電制御システムの宝庫に成長しつつある。
国内鉄道会社、車両メーカーは快適化、安全性に取り組む一方、海外市場の開拓に乗り出している。
国内ではJIS規格のほか鉄道団体規格があり、これまではこの規格に適合すれば済んだが、海外市場ではIEC規格の取得が条件になる。
昨年9月に、交通安全環境研究所鉄道認証室(NRCC)は認証機関の認定を受け、認証審査業務に乗り出し、国内で認証を取得できるようになった。認証対象規格はIEC62425(安全関連電子システム)などであるが、今後対象規格が増える。それだけに、IEC規格動向から目が離せない。