4月1日は各社で入社式が行われ、経営トップの話に新入社員は耳を傾ける。東日本大震災以降は、世の中のために、会社の仕事を通して貢献して欲しいとの挨拶が多い。少子高齢化社会では若い人たちに対する期待が、高度成長期よりもずっと大きい。一方で先輩として、一抹の不安もある。
感動が少ないという点においてである。感動は若いときほど身に付く。年齢を重ねると、体内に無感動や面倒臭さがウイルスのように蔓延ってくる。新しいことへの挑戦力は薄れ、コミュニケーションも取れなくなる。そのことに気付くものの、改善できない。感動期間を長くできるのは、若いうちの体験数で左右される。
サンセイテクノスの浦野英幸社長は自社農場の目的のひとつに「共同作業の中でのコミュニケーションの重要性などについて社員一人ひとりが自覚するよい機会でもある」という。企業は、仕事や人生を豊かにしてもらおうと、いろいろな環境を提供し、いろいろな経験を積めるよう取り組んでいる。そのチャンスをつかめるか否かで、心の成長が決まる気がしている。
若い世代は、面と向かって会話する時間をパソコンやスマートフォンにとられてしまっている。一緒に汗を流す作業がなく、感動も少ない。テレビで、ある新興国の英才教育で有名な小学校が紹介されていたが、スマートフォンを使って勉強している。それを見て、寂しく思った。