大手工作機械メーカーがコア技術である制御機器の外販に乗り出している。村田機械は4月1日、センサシステム事業を中心とする制御機器事業部を設立した。2010年には森精機製作所がマグネスケールを買収している。ジェイテクトはすでにPLCやモーションコントローラなどを製造販売している。オークマは自社製サーボモーターを工作機械に搭載しているが、大手工作機械メーカーの制御機器市場への進出は注目を集めそうである。
村田機械のセンサ事業は、村田機械研究開発本部が技術開発、ムラテックメカトロニクスがアプリケーション開発、村田機械センサシステム販売部が販売を担当してきた。今回、これらの組織を統合し「制御機器事業部」として再編した。
新設の制御機器事業部は、リニアセンサ、シリンダー組込型センサ、防水型センサ、エンコーダ、傾斜計などセンサ類、各種変換器のほか、これらを統合したFAモジュール、アプリケーションの開発と販売を行う。
事業部長に村田洋介副社長が就任し、「汎用品メーカーでは供給できないユニークなセンサ、コントローラ、システムを開発し販売拡大に取り組む一方、搭載する自社機械の競争力の強化を図る」方針。
制御機器は工作機械の精密な位置決めなどに使用されるため、コア技術として工作機械メーカーは制御機器メーカーとの連携を深めつつ、自社開発にも注力してきた。
ジェイテクトは、早くからメカトロニクス主要製品と位置付け関連会社の光洋電子工業などとともにPLCやモーションコントローラ、I/Oターミナル、センサなどの制御機器を製造販売し汎用市場で実績を挙げている。
しかし、オークマが自社製品搭載としてサーボモーターやFA機器を開発しているように、工作機械メーカーは自社製品の付加価値アップを主目的にしてきた。
ところが、森精機製作所がソニーの子会社、ソニーマニュファクチュアリングシステムズからマグネスケールを買収したことから、制御機器市場への関心が高まった。
現在、センサなどの制御機器業界はアプリケーション競争の段階に入っており、これまでユーザーの立場にあった工作機械メーカーがアプリケーション実績をもとに市場進出してきたことは、注目される。