因幡電機産業は、FA機器メーカーで、回転灯・表示灯でトップシェアを有するパトライト(大阪市中央区松屋町8―8、tel06―6763―8008、澤村文雄社長)を買収する。4月30日付で発行株式(51万1534株)の全株を取得し、完全子会社にする。取得価格は未定。同社は自社製品の開発を進め、メーカー機能を強めており、今回の買収もその一環。これまで国内市場が主体であった同社は今後、パトライトのグローバル市場を視野に入れた研究開発体制や海外6営業・1生産拠点を生かし海外進出への地歩を固めるものと見られる。
パトライトは、1947年にササ電機研究所として創業し、63年に佐々木電機製作所として法人化、94年に現社名に変更した。回転灯や積層表示灯などの分野で国内シェアの約70%を有するトップメーカーで、12年3月期の売上高は90億円、営業利益10億円、経常利益は6億円。
2000年大阪証券取引所2部、01年東京証券取引所2部、05年には東証・大証1部に上場したが、08年には株式公開買い付けに賛同して非上場となった。同社の筆頭株主は投資ファンド会社のパレスキャピタルで、残りは創業家である佐々木一族などが保有している。
因幡電機は、電設資材・制御機器の販売、空調部材などの製造販売を主要事業にしているが、中長期的には収益性の高い自社製品の開発や拡充に取り組んでいる。空調部材のほか、住宅分野や産業分野にも注力、最近は各種のエネルギー・マネジメント・システムの構築・販売や蓄電池事業など、商社機能を生かしながらメーカー機能も強めている。
09年には、端子台などの制御機器メーカーで、会社更生中の春日電機の再建支援のため買収し、子会社にした。
12年3月期の売上高は1800億円、営業利益89億円、経常利益89億円、純利益44億円。売り上げのうち、自社製品事業は398億円で、これに今回のパトライトの売り上げを合わせると約500億円規模になる。また、FA・制御機器や電子機器を取り扱う産業機器事業の売り上げは219億円。
因幡電機はパトライトの子会社化で、回転灯・表示灯の品ぞろえ強化と、パトライトが海外展開している6つの海外拠点(米・独・韓国・中国・シンガポール・台湾)を活用した展開が図れる。同時に、FA機器の開発機能強化やOEMも含めた製品ラインアップの拡大も見込める。
パトライトの従来からの販売ルートは大きな変更は行わない方針で、因幡電機が扱っている競合の回転灯や表示灯メーカーとの取引も継続して行っていく方針。
なお、今回の買収による影響を含めた同社の14年3月期の業績予想は、現在精査中で、5月15日の決算発表で開示する予定となっている。