新政権の経済政策への期待感から、景気の先行きに明るいムードが高まる中で、4月新年度の企業から中期経営計画が発表されている。国内ではエネルギー関連や医療・介護といった分野へのアプローチを強める一方、海外売り上げの拡大を見込んだ内容となっている。「グローカル」という言葉に代表されるように、グローバルな大局着眼的な戦略を立てながらも、ローカル的に小さなところから着手していくことで、着実に稼いでいく展開となりそうだ。
安川電機は、2013年4月からの3年間の新中期経営計画「Realize
100」をスタートさせた。15年度の売上高4000億円、営業利益400億円、営業利益率10%以上を掲げており、海外売上比率65%、新規事業売上高400億円を目指す。
同社は創立100周年を迎える15年度に向けた「2015年ビジョン」実現に取り組んでおり、06年度から3年間の「Dash100」、09度から4年間の「Challenge
100」を進めてきた。
13年度からは15年ビジョンを実現する最終ステップの意味を込めた名称にして、「Challenge
100」での成果を確実に刈り取るとともに、さらに深掘りして、グローバル企業へのマイルストーンとしてきた高収益体質(営業利益率10%以上)を築く。
「Realize
100」では、売上高を12年度の3103億円から約900億円伸ばし、営業利益も130億円から3倍強に増やす。このうち、新規事業売り上げを12年度の104億円から約4倍まで拡大を図る。新規事業では、環境・エネルギー関連の太陽光パワーコンディショナー、大型風力発電用電機品などをコア事業化するとともに、バイオメディカルロボットシステムや医療・福祉機器といったロボティックスヒューマンアシスト事業領域での創出を進める。
こうした取り組みでセグメント別の売り上げも、サーボ、インバータなどのモーションコントロール事業を12年度の1443億円から450億円増やして1890億円、ロボット事業を1102億円から300億円増の1400億円、システムエンジニアリング・情報その他を558億円から160億円増やし710億円にする。
また、日本で新規事業の量を確保しながら、海外販売の拡大を進め、海外売上比率を12年度の54%から65%に11ポイント高める。
グローバルな発想で、世界中どこでも地域に根ざしたベストな対応ができる「グローカル経営」によって、地域・市場・顧客別セグメントの最適化と事業戦略の展開、各地域の市場ニーズにスピーディーに対応する体制を構築していく。同時に、オープンイノベーションを進める。
さらに、開発力、生産力、販売力を進化させながら、経営効率化と新規事業へのリソースを進めることで、営業利益率も12年度の4・2%から約2・5倍の10%以上を確保していく方針。