Fa制御技術がロボットの建設市場を創造する。建設ロボット技術に関する懇談会(座長=油田信一芝浦工業大学特任教授)は、「建設ロボット技術の開発・活用に向けて~災害・老朽化に立ち向かい、建設現場を変える力~」を国土交通省に提言した。今後の調査・開発・活用の方向性やその実現に向けた方策などを取りまとめている。その概要を紹介してみた。
提言は、少子高齢化、労働生産性の向上、安全確保、多発する災害、社会資本の老朽化など建設生産システムをめぐる現状から、ロボット技術による課題解決の可能性と方向性に触れている。課題解決の可能性として、無人操作・遠隔操作による危険箇所での調査・施工、反復作業・自動化作業による施工の効率化、自動化による軽作業化と危険・苦汁作業の軽減、情報化・自動化による施工品質の維持、市街地等の工事における周辺住民や利用者の不便、不愉快の軽減につながる。
建設ロボットの開発・活用の目標について、「建設施工の生産性・安全性向上のための技術」「災害対応のための技術」「インフラ老朽化に対応する技術」の3項目を掲げ短期・長期対策を求めている。
建設ロボット技術の発展と普及のための方策として、基本的な考え方を(1)機器・技術を使いながら結果をフィードバックして技術を発展させていくために、既存のフィールド提供型などの制度を活用しつつ、国が継続的にフィールドを提供する必要がある(2)情報共有・意見交換の場を継続的に設ける必要があり、適切な競争環境が必要(3)開発投資・補助金などを含めて、国の継続的な関与が必要(4)シミュレータ技術も活用すべきとしている。
そのうえで、技術開発・活用のスキームとして(1)直轄事業の現場を使って重要目標に取り組む(2)多様な関係者による意見交換の場を設置(3)コンペティション方式など競争原理を導入(4)コンペティションのための研究助成等について省庁連携も視野に検討(5)活用者の経験を開発・研究者に届けるための密な情報共有・連携の場を設置―など提言している。