世界の人口が70億人を突破する中で、先進国を中心に高齢化社会が進展している。しかし一方で、高齢化を支える医療や介護分野でのヘルスケアやメディカル関連機器やサービスは、安心・安全な生活を行う上で重要性を増しつつある。
日本は世界でも高齢化が進みつつある国のひとつである一方、強みを持つ電子・電機や、メカニカル技術を生かして、こうした医療・ヘルスケア分野では世界でもトップグループを走っている。
日本のものづくりが新興国との競争によって、その地位が脅かされつつある中にあって、依然高い競争力を有し、グローバルで世界に貢献できる分野となっている。電子情報技術産業協会(JEITA)は、さらなるITの活用が期待される「ヘルスケア・メディカル」分野について今後の動向をまとめた。
ヘルスケア・メディカルの世界需要額は2011年で32兆円となっている。家庭用を含む健康機器・医療機器が24兆円、健康・医療情報システム・サービスが8兆円で、今後は年率5%の増加が見込め、20年には49兆円に成長する見通しとなっている。医療機器が36兆円、健康・医療情報システム・サービスが13兆円となるが、伸び率は健康・医療情報システム・サービスが6%増と、健康機器・医療機器の5%増を上回る。
健康機器・医療機器のうち、手術用電気機器や生体機能制御装置などの治療系機器分野は今後も高い成長が続くと見ている。
米は20年に5兆円規模
20年の健康・医療情報システム・サービスの地域別規模は、米国が5兆円と最も大きく、続いて欧州の3・2兆円、中国7000億円、日本6000億円などとなり、伸び率では中国が9・9%増と最も高い。続いて米国5・8%、日本3・5%、欧州3・1%などの順で伸びる。
日本の健康・医療情報システム・サービスの20年の需要6000億円のうち、健康・情報サービスが1600億円で、年平均13%成長する。個人や法人向けスマートフォンやタブレット端末などとの連携型サービスの需要増が見込まれている。
医療情報システム・サービスは4300億円で、電子カルテとPACS(医用画像管理システム)を両輪に、堅調な推移を見せる。
介護福祉ロボットも出現
また、20年の健康情報サービスと健康機器需要は、年平均10%成長して3600億円になる。このうち、健康機器は2000億円で、介護福祉先端機器としてのロボットなどの出現が見込まれている。