電気事業法の一部を改正する法律案が閣議決定され、今国会に提出された。
送配電部門分離と電気の小売り料金全面自由化へ2018年から20年をめどに3段階に分けて実施する。
電事法改正案は、電力の安定供給確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を目的に、広域系統運用の拡大、小売り及び発電の全面自由化、法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保が柱である。
改革は3段階に分けて実施する。
第1段階は、15年をめどに広域系統運用機関(仮称)を設立する。
第2段階は、16年をめどに、電気小売業への参入の全面自由化を実施する。
第3段階は、18年から20年をめどに、法的分離による送配電部門の中立性の一層の確保、電気の小売り料金の全面自由化を行う。
第1段階では、需給ひっ迫への備えを強化するため、広域的運営推進機関を創設し、エリアを越えて電力融通などの指示を出せるようにするほか、経済産業大臣による供給命令を見直し、供給命令の発動要件を災害等非常時以外にも拡充。また、卸供給事業者に対する供給命令制度なども新たに整備する。
さらに、自己託送制度を見直し、自家発電設置者が別の場所にある自社工場などに電気を供給する場合に、一般電気事業者に対してその送配電網を利用させる義務を課す。
電気の使用制限命令に係る制度も見直し、経済産業大臣による勧告制度を創設する。
各段階で課題克服のための検証を行い、必要な措置を講じながら改革を行うという。
なお、電気事業法における電気事業者とは、(1)一般電気事業者=電力会社10社(2)卸電気事業者=200万kW超の発電設備を有する電源開発(Jパワー)と日本原子力発電の2社(3)特定電気事業者=特定の供給地点に電気を供給する事業者で、六本木エネルギーサービス、JR東日本、住友共同電力、JFEスチールの4社(4)特定規模電気事業者(新電力)=50kW以上の需要家に電気を供給する事業者で、エネット、ダイヤモンドパワーなど88社が届けている。