三菱電機は、2013年度経営戦略を本社で20日発表したが、FAシステム事業ではきめ細かな世界戦略を推進し成長させる。15年度目標の売上高6000億円、海外比率50%に向けて、国内で圧倒的なシェアナンバーワンを獲得しつつ、海外では機種・地域を横断するグローバル営業体制の強化により、中国、韓国、台湾のほか中東欧・ロシア、インドなどに注力する。海外ではFA分野のほかPA、BA、省エネ分野に参入する。山西健一郎社長は13年度を「再スタートの年と位置付け、今一度成長性に重点を置く」とし、成長性、収益性・効率性、健全性のバランス経営を実践しつつ、14年度に連結売上高4兆円、海外売上高比率40%を目標とする方針を強調した。
成長戦略推進のため「環境・エネルギー」「社会インフラシステム」「グローバル展開」に注力する。成長戦略の基本として(1)強い事業をより強く(2)新たな強い事業の創出(3)ソリューション事業強化(4)スマートコミュニティ/スマートグリッド(5)統合ソリューション事例を掲げた。強い事業は電力システム、FAシステム、パワーデバイス、交通システム、空調システム、ビルシステム、自動車機器、宇宙システムの8事業で、FAシステム事業は収益率の高い部門となっている。
主要製品の現在のマーケットシェアは、ACサーボが世界16%、中国14%、シーケンサが世界21%、中国19%、レーザ加工機が世界60%、中国75%であるが、成長戦略の推進でシェアを拡大する。そのため今年度は、資本提携などを含むパートナーとのソリューションを展開する。特に、フィールド機器でセンサ「iQ
Sensor
Solution」推進、CC―Linkパートナー数拡大に取り組む。
生産面では中国の事業別生産拠点体制を確立、インドのインバータ・低圧配電機器生産体制を整備する。海外販売は、販社機能の強化、シンガポール拠点の強化、買収・出資によるPAビジネス強化などを行う。
地域戦略では、日本はグローバル戦略統括機能を強化。中国では市場別戦略製品の投入、アフターサービス体制充実でシェアアップを図る。中東欧・ロシアでは新規市場として代理店買収を含めた営業力を高める。インドは今年3月開設のFA開発センターでインド市場向けシーケンサ、表示器を開発する。
このほか、タイは販売網の拡充・社会インフラ案件に取り組み、インドネシアとブラジルではそれぞれ昨年設立の総合販社で販売・技術サポート、メキシコでは今年4月開設のFAセンターで技術相談やエンジニア教育を展開する。