日本食品機械工業会(FOOMA、尾上昇会長)は、昨年のCEマーキング対応制御盤モデルに続き、UL適合のモデル制御盤を製作、6月11日から開催の国際食品工業展「FOOM
JAPAN2013」で公開する。食品機械は今後グローバルな市場環境に置かれることから、機械安全国際規格対応が大きな課題となっている。そのため、ULとCE対応制御盤を製作した工業会は、会員のCEマーキングやULに対する取り組み支援に役立て、食品機械の海外市場進出を積極的に後押しする。「食の安全」と「労働安全」の確保へ国際規格対応に取り組んでいるFOOMA安全・衛生企画委員会は、労働安全対策の一環として制御盤設計の調査研究に取り組み、2010年度に手引書「国際規格対応
制御盤設計ガイドライン―IEC60204―1準拠―」を作成した。
このガイドラインに基づいて、CEマーキング適合のモデル制御盤を完成、昨年「FOOM
JAPAN2012」の会場で一般に公開した。
この制御盤は、IEC仕様書に沿って製作された。現在、工業会に常設展示されているが、食品機械メーカーの関心は高い。
今年は、米国規格UL508A産業用コントロールパネルに準拠のモデル制御盤を製作した。UL規格仕様に改めるため回路図の変更、筐体や使用部品・ケーブルなどの選定から作業を進め、実際に使用可能な制御盤にしている。
今回、UL、CEマーキングの制御盤がそろったことから、設計や安全対策ノウハウなどを食品機械メーカーへ提供していく。
今後FOOMAでは、「FOOM
JAPAN」で公開するほか、食品メーカー、機械メーカー向け国際安全規格対応講習会などを通して指導する。また、中核となるシステム安全エンジニア養成へ長岡技術科学大学と引き続き連携し、国際規格対応制御盤の設計と機械安全専門家の育成を図る。
FOOMAの大村宏之事業部長は、モデル制御盤の効能について「これまでは海外から引き合いがありながら、国内市場だけと断る食品機械メーカーも、近年は海外に市場を求める傾向にある。輸出促進を機械の品質・安全面から支援できる。輸出の際、現地で不適合とされるケースをなくしコストアップを回避することも可能になる。また、研修で機械安全の国際規格を学ぶときに、実物を見れば理解が早くなる」と語る。
FOOMA統計によると、食品機械の輸出額は09年185億4200万円、10年282億1800万円、11年300億円と増加傾向にあるものの、輸出比率は約4%と少ない。ただ、世界は日本食ブームの最中にあり、国際規格適合制御盤搭載の食品機械輸出は今後増え続けるものと予想されている。