半導体製造装置にようやく上向きの兆しが出てきた。今年8月頃から半導体メーカーの設備投資が回復し、製造装置も今年後半から回復軌道に乗るものと予想される。制御機器各社は、制御機器国内出荷額の10%前後を占める半導体製造装置市場だけにシェアアップへ新製品を投入、営業強化に取り組んでいる。半導体製造装置は、半導体市場動向に左右される。世界の主要半導体メーカーが加盟しているWSTSの2013年春季市場予測会議が開かれた。日本協議会が6日発表したところによると、13年は世界全体で2978億ドル、前年比2・1%の成長と見ている。
日本市場は、電子機器生産の低迷により、円換算(1ドル92・2円)で約3兆2600億円、前年比0・3%減としているが、14年は3兆3900億円、同3・9%増、15年が約3兆4700億円、同2・2%増と先行き穏やかな回復を予測している。
半導体市場の成長に伴い、半導体製造装置投資も増加が見込める。半導体売上高に占める半導体製造装置投資額の割合は、リーマンショック後低下し、13~15%前後で推移しているが、規模は依然大きい。
日本半導体製造装置協会が発表した日本製半導体製造装置の4月度BBレシオは1・11(暫定値)、日本製FPD製造装置は1・32と受注が増えている。
東京エレクトロンは、13年1~3月期受注額が半導体製造装置1082億円、12年10~12月期比19%増、FPD/PVE製造装置73億円、同101%増と急増している。今年度通期予測も、先端微細化投資や能力増強投資により年央から回復を見込み、半導体製造装置売上高が前年度比10%増の4300億円、FPD/PVE売上高が153%増の510億円としている。
ニコンは、露光装置販売の増加で今年度の精機部門売上高が2100億円、前年度比11・7%増加を見込んでいる。
日立ハイテクは、今年度半導体製造装置の売上高を368億円、前年度比5%増を予測、15年3月期は432億円、同11・7%増加と2年連続してプラス成長を見込んでいる。
半導体試験装置大手のアドバンテックでは、今年半ばから半導体メーカーの投資意欲は回復度合いを増すと見て、今年度1600億円を計画している。
半導体製造装置各社では、半導体分野が今年後半から回復、液晶分野は中小型用を中心に堅調に推移すると見ており、売り上げ増加を予測している。
こうした半導体製造装置/FPD製造装置の回復を受け、制御機器各社は「半導体製造装置向けは昨年非常に悪かったが、今年に入り受注が増えだした。まだ月ごとに波があるが、夏場以降は毎月、前年を上回る見通し」とした上で、「半導体製造装置向け専用の新製品を発売した」など、新製品発売でシェアアップを図る。
半導体製造装置市場は、制御機器需要先でロボット、配電制御システム、自動車関連設備、工作機械に次ぐ規模であり、先行き期待も大きくなっている。