冷蔵庫から取り出した食パンに紫色の斑点がある。カビに関しては、平素はあまり気にならないものだが、梅雨時には食の安全をいつも思い知らされる。冷蔵庫を清掃しながら、今年はなぜか、食品機械は「衛生」と「機械」のふたつの安全対策を講じないといけないと聞かされたことを思い出した。▼
先週は週末まで雨が降り止まず、食物の大敵である高温多湿の日々が続いた。食品産業に携わる人の衛生管理に対する関心が最も高まるときに、2013国際食品工業展が開かれた。衛生と機械安全対策の取材に出かけたが、人混みと実演機械の波動に、ついつい滞留時間が長引いた。FA制御業界の関係者も取引先訪問とマーケティングを兼ねて来ていた。▼
確かに、食品工場はオートメーション技術の集大成の場である。そこで稼働する食品機械は最先端の駆動機器、制御機器が採用されているのだから、FA駆動・制御業界も見逃せない。食品機械各社は、衛生面と同時に、機械自体の小型化、省エネ、生産時間の短縮を競って訴求している。主催者コーナーではCEマーキング対応制御盤、UL適合制御盤の見学者が昨年の数倍も増えた。▼
ものづくりの競争力を下支えするのは生産機械・設備である。せっかく新鋭機を開発しても実際に使用されなければ役に立たない。政府は、新規に生産設備を導入する製造業には税の軽減を図る。設備の更新寿命を現在の13・5年から10年以下に引き下げ、生産性向上で市場での製品競争力をつけるのが目的である。政府の省エネと生産設備対策はFA業界に光明をもたらす。