日本の製造業は、サプライサイド、マーケットサイドの両面で転換点を迎えており、国内生産の頭打ち、海外展開の多様化などで中長期的な競争力の低下は否めないとし、その解決策として立地環境の整備、技術・設備の維持強化、新陳代謝の促進などを指摘している。特に、FA業界に影響の大きい設備投資について、グローバル展開の基となる生産拠点として国内に残すべきマザー機能の強化などへ投資を促す環境整備が必要だという。
経済産業省がまとめた「2013年版ものづくり白書」によると、世界のものづくりの潮流の変化に触れ、サプライサイドでは製品や製造プロセスのデジタル化に伴い参入が容易となり、新興国との競合が激化する。3次元プリンタなど新しい製造装置が普及した場合、製造技術の蓄積がなくても参入が可能となる。マーケットサイドでは、少子高齢化や人口減少などで国内市場が伸び悩む一方、新興国市場が急成長する。そのため、市場を取り巻く環境の変化への対応が必要。
新陳代謝が必要
こうした状況下で、国内の高コスト構造の是正や規制を見直し、TPPなど経済連携を活用した立地環境の改善が急務。
また、競争力の源泉である研究開発や設備投資の促進を求めている。設備投資の水準は、失われた20年で約3割減。合わせて約6年の老朽化が進んだ。韓国では設備投資が90年の4・95倍、米国は2・37倍であり、日本の投資減少が際立つ。そのため、投資環境の整備の必要性を説いている。
ビジネスモデルの変革が必要とも指摘する。新興国の参入でコモディティ化が進んだ分野は、生産委託などへの転換を行うか、グローバルメジャーを目指すべきという。グローバルニッチトップ企業を創出・育成することも重要。さらに、不採算部門の経営資源を活用した事業転換や、再生医療分野、環境エネルギー分野、農商工連携分野での創業、中小企業による連携を促し新陳代謝が必要である。