関西地区は、昨年末からの株高、円安傾向を受け、全般的に持ち直しの動きがみられ、特に輸出に関しては、アジアや米国向けが増加基調で推移しており、全体として下げ止まりつつある。こうした動きを受け、制御機器・電子機器市場は、まだまだ実感が少ないながらも、明るい方向へ向かいつつあると捉えている。FA機器の大きな市場である半導体製造設備業界は、今年後半から設備投資の動きが活発化するものと見られ、期待を寄せる声が大きい。今年4月あたりから半導体メーカーを中心に、今年下期へ向けての仕込みに入っており、具体的な商談が動き始めている。
関西地区の各商社では、商社機能を基本に、自社製品を開発・提供するメーカー機能、ソフトウェアやシステム設計を開発・提供する開発機能などの強化を図っている。顧客の求める内容が、これまでの単なる機器提供だけでなく、システム開発やシステム設計、カスタマイズ、さらにきめ細かなサポート体制を要望するものに変化してきているためで、商社側でもこうした各機能を深化させるとともにシナジー効果を持たせ、トータルソリューションとして提供するようになっている。
ソフトウェア開発を積極的に推進する商社では、グループ企業に、ソフトウェア開発を専門とする技術系企業を傘下に入れ、相乗効果を発揮している。ある商社では、CADを中心としたソフト開発で成果を挙げており、今後もスキルアップを図り、幅広い案件に対応していく姿勢を表している。
ものづくりサービスを総合的に提供・拡大していこうと、電子機器の受託生産(EMS)と、金属加工の受託生産(MMS)を統合した事業育成を図ろうとしている。ソフトウェア開発やシステム設計を担当する多くの技術スタッフを擁しており、技術サービスを付加する技術商社として、ハードウェアとソフトウェアのエンジニアリングを行い、高度化・多様化するニーズに応えようとしている。
この背景には、これまでは顧客からの要望に応じる形で随時EMSを行ってきたが、顧客からの要望が強いため、正規の事業に昇格させるもので、今後はセットされた製品を独自モデルとして提供し、積極的に事業の拡大を図る。
加えて、東南アジアを中心とした強固な海外ルートとネットワークを生かすことで、部品調達能力を向上させ、製造現場の監査まで担当することで、顧客にEMSに関して無駄な時間や手間をかけさせないメリットがあるという。
商社が取り組む具体的テーマとしては、依然として「省エネ・蓄エネ・創エネ」が挙げられ、高い安全性と急速充電を可能とした蓄電池や、HEMSなど環境関連ビジネスの充実が図られている。
Webビジネス展開も積極的に取り組まれている。Webビジネスサイトを顧客が有効活用することで、商社が顧客の課題を吸い上げ、それらに対応する最適のソリューション展開を行うことで成果を挙げている。
一方、厳しい市場環境に対応するた
め、商社のM&Aの動きも活発だ。商社やメーカーへの資本参加で、販路、扱い商品、利益率向上などを目指している。成熟する国内市場、拡大する海外市場という動きの中で、試行錯誤の経営が続いている。