中部地区の商社の主要ユーザーである自動車関連企業は、北米や東南アジア地域の販売拡大により、総じて好調に推移した。工作機械については、新興国を中心とした需要減速の影響を受けている。
こうした背景のもと、商社では、エンジニアリング力、ソリューション力を生かした提案営業の強化や、様々な形での情報収集、市場環境の変化に応じた新商材・新領域開発、海外事業の強化などに取り組んでいる。
提案営業としては、まず営業マンが仕入先メーカーの講習会などに参加して、製品の性能、機能をしっかりと理解し、顧客に説明していかなければならない。もちろん、カタログ上の性能を説明するだけでは、インパクトがないので、自社で扱う各種商材とシステム化し、こんなことができる、こんな用途も考えられるなど様々な提案を行っている。
商社自体にグループの盤、電機メーカーなどがあれば、商社の営業マンとメーカーのシステムエンジニアらが一緒に顧客を訪れ、提案営業を行いながら、その場で顧客の話を聞き、このようなシステムが欲しいとか、どれこれを組み合わせた盤が欲しいなどの要望に、システムエンジニアが即答することができる。
情報を制する者が、市場を制覇できるということで、自動省力化機器メーカーが製造する膨大な製品情報、価格情報、CADデータをデジタルとアナログ情報で共同発信するインターネット情報発信基地を設置して、仕入先、顧客へのサービスを向上している商社もある。
数十万アイテムにも及ぶロボット・FA機器、制御・検出・計測機器、駆動回転制御機器、搬送・物流機器、工場設備・環境機器の自動化・省力化機器などを集約したデジタルカタログ、メカトロパーツのCADデータ、生産材速報誌、メールマガジンによるメーカーの最新ニュース配信、メーカーのオリジナル電子カタログなどの幅広いサービスで、取引先の囲い込みを図っている。
メーカーのホームページ、関連する団体・機関、ビジネス便利サイトなどにもリンクしており、今後も製品情報などを充実させて、業界のリアル情報を入手できるようにしていく。
顧客の海外進出に連携して、海外での事業展開に力を入れるところも多い。海外でのSEの育成、協力メーカーの発掘、国内からの支援体制構築、海外におけるエンジニアリング体制の強化や、現地調達企業の発掘、パートナー企業との提携、海外の新商材輸入など様々な施策で海外事業を強化している。中国は経済がやや停滞しており、日中間の国際関係が微妙でリスクも考えられることから、タイやインドネシアが注目されている。
国内市場は成熟期にあることから、新規アイテムの発掘、新ビジネスの構築なども不可欠だ。環境関連、新エネルギー、燃料電池などが対象となる。
営業活動に欠かせない有能な人材の育成も重要で、独創的な商品、社内改善策などを考えた社員や部門を表彰する報奨制度を設けているところや、海外研修として、若手社員を一定期間、海外拠点に派遣するところもあり、社員のやる気や創造力を伸ばすのに役立てている。