サンワテクノスの田中裕之常務取締役営業本部電子部門長は、リーマンショック以降の生産能力増強に携わる製造業の地産地消の流れは円安下でも変わらないとし、国内市場は能力増強ではない最終製品を製造する企業に注力するとの方針を語った。特に、医療機器やエネルギーなどの産業を挙げた。当面、不安視される中国市場に関して、まだ拡大するとの見通しながら、ASEANでの販売を強化しバランスをとる方針である。
田中常務は直近のFA市場について「国内は、2012年下期からパワーコンディショナーの販売が好調、スマートグリッド関連も動いているが、全体的に見れば悪かった。しかし、今年5、6月は上向き、7月頃から半導体検査装置でモーターの販売が出ており、1年半続いた不況から抜け出す兆しにある。海外は、米国は良いが、中国が先行き心配である」。
今後の国内市場は「円安下でも地産地消の大きな流れは変わらない。生産能力増強に携わる企業は、海外に出て行っているので、能力増強だけのビジネスは頭打ちとなる」と語り、その対策として医療機器、エネルギーなどの分野を強化する。創業以来モノづくり増強で成長してきた方針を転換し、内需型の川下産業への浸透を図る。
また、新市場開拓は「当社は優良企業とお付き合いをさせていただいているので、新しいアプリケーションを教えてもらっている。活用していける」とし、商材についても「現在の商品が新市場でも使われているので、現有の取り扱い商品で開拓できる。ただ、結果として、新商材を扱うことになる」との見方である。
海外拠点が充実している同社は、アジア市場に対し「中国は現在、ローカル企業向け販売が40%を占めている。景気は、今は下降かもしれないが、市場は今後も引き続き拡大すると思う」とアジア最大の中国での販売を推進する一方、「中国だけでは危険なので、ASEANにも注力してバランスをとる」方針で臨む。